アレルギー性鼻炎でも鼻閉症状が中等度以上の場合に処方されるのがディレグラ配合錠(後発品:プソフェキ配合錠)です。
花粉症のシーズンになると、ディレグラの処方に触れるケースも増えてくるのではないでしょうか。
ディレグラについて製剤の特徴や調剤時や服薬指導で注意することについてお伝えできればと思います。
ディレグラ配合錠は、フェキソフェナジン塩酸塩と塩酸プソイドエフェドリンの配合錠です。
フェキソフェナジン塩酸塩はOTC薬としてもよく耳にするアレグラ錠の有効成分ですね。
一方で塩酸プソイドエフェドリンはα受容体刺激薬です。
鼻粘膜の血管平滑筋を収縮させ、血流を減少させることにより、鼻粘膜の充血や腫脹を軽減させ、鼻閉改善効果を示します。
ディレグラ配合錠の効能・効果は「アレルギー性鼻炎」です。
しかし、アレルギー性鼻炎なら誰でも使用できるわけではありません。
ディレグラ配合錠は「鼻閉症状が中等症以上の場合」に使用が検討されます。
重症度に応じた花粉症に対する治療は、鼻アレルギー診療ガイドライン2016年版(改訂第6版)において以下の通りです。
図1 重症度に応じた花粉症に対する治療薬の選択
また、アレルギー性鼻炎症状の重症度と病型は下記の通りです。
図2 アレルギー性鼻炎・症状の重症度と病型分類
図3 アレルギー性鼻炎症状の程度
上記より、くしゃみや鼻をかむ回数が1日のうちに6回以上あったり、鼻閉により口呼吸が1日のうちにときどきあるような場合はディレグラの適応になることになります。
成人及び12歳以上の小児には1回2錠(フェキソフェナジン塩酸塩60mg/塩酸プソイドエフェドリン120mg)を1日2回、朝及び夕の空腹時に経口投与します。
空腹時投与の理由 ディレグラ配合錠は食後に服用すると、空腹時と比較しフェキソフェナジン塩酸塩のCmax、AUCが半分以下となってしまいます。
食後に服用しないよう、患者さんに説明する必要があります。
日本人健康成人男子にディレグラ配合錠2錠を単回経口投与したとき、絶食時に対する食後投与時の血漿中プソイドエフェドリンのCmax及びAUC0−72の幾何平均比の90%両側信頼区間はそれぞれ0.96〜1.10及び0.90〜1.00であったのに対し、血漿中フェキソフェナジンではそれぞれ0.29〜0.43及び0.33〜0.43であった。
引用元 ディレグラ配合錠 添付文書
アレグラ錠の禁忌は過敏症のある患者のみですが、ディレグラ配合錠は塩酸プソイドエフェドリンが含有されているため、下記のようにα作用に関連する禁忌があります。
患者さんの既往に高血圧や緑内障、冠動脈疾患等がないことを確認しないといけません。
併用禁忌薬はありません。
併用注意薬としてはアレグラ錠と同様、制酸剤(水酸化アルミニウム・水酸化マグネシウム含有製剤)とエリスロマイシンがあります。
※水酸化アルミニウム・水酸化マグネシウム両方を含有する製剤(マーロックス等)が該当します。
また、塩酸プソイドエフェドリンとの併用注意として、交感神経系に対し抑制的に作用する降圧剤(メチルドパ、レセルピン)、交感神経刺激薬、選択的MAO-B阻害剤(セレギリン)があります。
「便に錠剤が10錠くらい出てきたよ。こんなことあるの?」
ある日患者さんに言われ、とてもびっくりしました。
添付文書を見てみると、
「糞便中に、有効成分放出後の殻錠が排泄されることがある」と記載されています。
ディレグラ配合錠は塩酸プソイドエフェドリン(PSE)の消失半減期が短いため、PSEの含有層を徐放化しているそうです。
そのため、有効成分放出後は殻錠が排泄されます。
※ディレグラ配合錠自体は徐放錠ではありません。
殻錠が排泄されるとして、なぜ10錠も便中に出てきたのでしょうか。
不思議でしょうがありませんでしたが、よくよくお話しを聞いてみると、便秘が続いていて、2~3日便が出ていなかったそうです。
1回2錠、1日2回投与で2~3日であれば10錠程度服用しているので、便に10錠出てきてしまったことにも納得しました。
便秘気味の患者さんには、殻錠がたくさん出てきても慌てないように、指導していきたいです。
ちなみに薬剤の殻が便から出てくることをゴーストピルやゴーストタブレットといわれます。
徐放化されているので、簡易懸濁や粉砕、半割についてはメーカーの回答では「推奨していない」とのことです。
錠剤がとても大きい(長径:17.5mm、短径:7.8mm)ので、高齢の方など服用しにくい場合は対処に悩むところですが、点鼻薬や点眼薬も併せて代替薬を提案できるようにしていたいです。
1) ディレグラ配合錠 添付文書
2) 鼻アレルギー診療ガイドライン2016年版(改訂第6版)
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