第一世代・第二世代抗ヒスタミン薬一覧・特徴・授乳中の使い分け

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

ヒスタミンH1受容体拮抗薬は第一世代、第二世代と大きく2つに分類されます。

第一世代は抗ヒスタミン作用は強い反面、眠気やめまいなどの中枢神経系の副作用と、口渇・便秘・尿閉などの抗コリン作用の副作用が問題となります。

一方で第二世代は血液脳関門を通過しにくいため、中枢神経系の副作用が少なく、また抗コリン作用が少ないのが特徴です。

第一世代・第二世代抗ヒスタミン薬の一覧と特徴、授乳中の基準についてまとめました。

第一世代抗ヒスタミン薬一覧・特徴

分類 一般名 商品名 特徴
エタノールアミン系  ジフェンヒドラミン レスタミンコーワ  鎮静・止痒作用強い
抗コリン・中枢抑制強い 
クレマスチンフマル酸塩  タベジール  持続性あり
眠気が少ない 
プロピルアミン系  dl-クロルフェニラミンマレイン酸塩 アレルギン散  第一世代の中で眠気は少ない
d-クロルフェニラミンマレイン酸塩 ポララミン  dlの2倍の抗ヒスタミン作用
第一世代の中で眠気は少ない
フェノチアジン系  プロメタジン塩酸塩  ピレチア
ヒベルナ 
抗パーキソン作用
アリメマジン酒石酸塩 アリメジンシロップ  イチゴ味
小児の痒み・鼻水に処方 
ピペリジン系 シプロヘプタジン塩酸塩 ペリアクチン  抗セロトニン作用あり
→1996年まで「食欲不振・体重減少の改善」の適応あり 
ピペラジン系 ヒドロキシジン アタラックス
アタラックスP
神経症(不安・緊張・うつ)にも使われる
ホモクロルシクリジン塩酸塩 ホモクロミン 抗セロトニン・抗ブラジキニン作用あり

 

第二世代抗ヒスタミン薬一覧・特徴

一般名 商品名 特徴・回数
ケトチフェンフマル酸塩 ザジテン
DS(イチゴ味)・カプセル・シロップ 
1日2回朝・就寝前
車運転× 
アゼラスチン塩酸塩 アゼプチン錠  1日2回 
車運転× 
オキサトミド セルテクト
錠・DS 
2019年3月末薬価収載削除
1日2回朝・就寝前
車運転×  
妊婦に禁忌
メキタジン ゼスラン
ニポラジン
錠・小児用細粒
小児用シロップ(ミックスフルーツ味) 
1日2回 
車運転× 
フェキソフェナジン塩酸塩 アレグラ
錠・OD錠・DS
1日2回 
車運転OK
エピナスチン塩酸塩 アレジオン
錠・DS(ヨーグルト味) 
1日1回
車運転注意
エバスチン エバステル
錠・OD錠(ストロベリー味) 
1日1回
車運転注意
セチリジン塩酸塩 ジルテック
錠・DS(ストロベリー味)
1日1回就寝前
車運転×
レボセチリジン塩酸塩 ザイザル
錠・シロップ 
1日1回就寝前
車運転×
ジルテックの光学異性体
ベポタスチンベシル酸塩 タリオン
錠・OD錠 
1日2回
車運転注意
エメダスチンフマル酸塩 レミカットカプセル  1日2回朝・就寝前 
車運転×
オロパタジン塩酸塩 アレロック
顆粒・錠・OD錠 
1日2回朝・就寝前 
車運転×
ロラタジン クラリチン
錠・レディタブ錠・DS 
1日1回食後
車運転OK
デスロラタジン デザレックス錠  1日1回 
車運転OK
ビラスチン ビラノア錠  1日1回空腹時
車運転OK
ルパタジン
ルパフィン 1日1回
車運転×

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授乳中の抗ヒスタミン薬(Medications and Mothers’ Milk 基準)

授乳中の方へ抗ヒスタミン薬が処方されるケースがありますが、

添付文書では

「母乳中に移行するため授乳は避けさせること」

といった記載が多くあります。

このような画一的は記載になっていると現場ではとても困りますよね。

「授乳は避けること」と添付文書に記載があっても実際に母乳に移行する薬剤の量はごくわずかで「授乳を中止しなくてOK」と指導される場合もあります。

授乳中の使用について参考となるのが海外のMedications and Mothers’ Milk 基準です。

Medications and Mothers’ Milk 基準は下記の5つに分類されます。

  1. L1:適合 compatible
  2. L2:概ね適合 probably compatible
  3. L3:概ね適合 probably compatible
  4. L4:悪影響を与える可能性があり possibly hazardous
  5. L5:危険 hazardous

抗ヒスタミン薬の中で分類があるものをピックアップします。

基準 一般名(商品名)
L1 ロラタジン
(クラリチン)
L2 アゼラスチン塩酸塩
(アゼプチン)
フェキソフェジン
(アレグラ)
セチリジン
(ジルテック)
レボセチリジン
(ザイザル)
L3 d-クロルフェニラミン
(ポララミン)
L4 クレマスチン
(タベジール)

最近はインターネットで情報収集をする患者さんが多く、

「インターネットで調べたら授乳は禁止って書いてますが本当に大丈夫ですか?病院では授乳を続けて大丈夫と言われたけど・・・。」

といった相談を受けることがあるかもしれません。

その際は日本の添付文書だけでなく海外の基準も参考にするとよいでしょう。

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2006年 京都薬科大学 薬学部卒。

調剤併設ドラッグストアのスギ薬局に新卒で入社。
調剤部門エリアマネージャーを経験後、名古屋商科大学院経営管理学修士課程にて2年間経営学を学び、経営管理学修士号(MBA)を取得。
2013年4月、シナジーファルマ株式会社を設立。
2013年8月、薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」をリリース。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」は臨床で役立つ学術情報や求人広告を発信し月間24万PV(2023年6月時点)のアクセスが集まるメディアとして運営中。

2021年より福岡県北九州市にてティーダ薬局を運営(管理薬剤師)。

1983年11月 岡山県倉敷市で生まれ、水の都である愛媛県西条市で育つ。
大学より京都・大阪で14年間、沖縄Iターン特集立ち上げのため沖縄県で4年間暮らし、現在は福岡県民。
二児の父親。

当面の目標は、
「息子達の成長スピードに負けないこと」

座右の銘は、
「まくとぅそうけい なんくるないさ」
=「誠実に心をこめて精進していれば、なんとかなる!!」

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