薬剤師が医薬品卸で働くことのメリット・デメリット

この記事を書いた人

まい

薬剤師

こんにちは。

薬剤師ライターのまいです。

私自身の経験を基に、薬剤師が医薬品卸で働くことのメリット・デメリットについてお話しします。

薬剤師の就職先と言えばやはり主流は調剤薬局ドラッグストア(以下DS)、病院ですよね。

医薬品卸の薬剤師は普段表に出てくることがないため、何をしているのか疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

卸の薬剤師は普段何をしているの?

医薬品卸の営業所勤務の薬剤師の主な仕事内容について説明します。

薬事関連業務

  • 自営業所の許可更新や各種変更届等の行政手続き
  • 取引先の業態、許可について確認し、納入が法的に問題ないかの確認
  • 納入規制がある品目(流通管理品目)について製造販売元へ納入可否の問い合わせ

安全管理業務

  • 製造販売元から委託された回収業務や販売直後調査について実施結果を取りまとめて報告
  • 副作用や不良品等の情報を製造販売元へ報告

品質管理業務

  • 保管倉庫や保冷庫の温度管理、在庫の使用期限チェック、商品が決められた貯法で保管されていることを確認
  • 返品依頼品についての再販可否の判断

社員への教育指導

  • 授業員に対して薬事や品質管理の指導・研修の実施

DI業務

  • DI情報の整理、得意先からの問い合わせ対応、得意先やMSから依頼された資料作成等

普段は営業所内で仕事をしていますが、月に1,2回、他営業所や他社の卸薬剤師の会合に出掛け勉強会や情報交換を行ったりもします。

医薬品卸で働くメリット

  1. 定時に帰れる、仕事にゆとりがある
    会社や営業所によって薬剤師の仕事量は異なると思いますが、長時間の残業が発生することはまずありません。

    基本的にはルーチンワークで計画的に業務を進行することができます。

    一般企業と同様に勤務時間固定、土日休なのも魅力だと思います。

    実際小さい子供がいるママさん薬剤師の多くがフルタイムで働いています。

  2. 新薬の情報がすぐに入ってくる
    営業所では朝礼等を利用して新薬勉強会がよく開かれており、新薬の情報を早く入手できます。
    また、各社MRが頻繁に来所するため質問等しやすい環境です。
  3. 唯一の専門職で大事にされる
    営業所で唯一の専門職であり、業務内容は専門職だからこそ任されているものであるため、周囲から一目置かれ大事にされる存在と言えるでしょう。
  4. 医療従事者の役に立てる
    医療現場の薬剤師さんは普段何かと忙しいので、依頼があった時は代わって調べたり資料を作成したりします。

    直接患者に接することはありませんが、このような形で現場の役に立てていると実感できると嬉しいものです。

  5. 広いオフィス、自分の席がある
    狭い調剤室を苦手と感じた人にとっては、大きいことなのではないかと思います。

医薬品卸で働くデメリット

  1. 薬剤師スキルが落ちる
    調剤、鑑査、服薬指導等のスキルは当然身に付きません。

    卸→病院・薬局へ転職したとしても、上記のスキルがないので転職後しばらくは苦労しそうです。
    (卸薬剤師の離職率が低いことの一因かもしれません。)

  2. 給料が安い
    残業が少ないことや薬剤師として求められるスキルが少ないことが関係していると思いますが、調剤薬局やDSに比べて給料は低めです。

    定年まで一営業所の管理薬剤師のままであればまず大きな昇給は望めません。

    本社の管理部門で役職に付けばまた違うと思いますが非常に狭き門です。

  3. 年上の人に対しても指導教育しなければならないので気を遣う
    卸薬剤師は新卒であろうと従業員に指導教育する立場です。

    かなり年上の人に注意や指導をするときは気を遣います。

  4. 一人部署なので孤独
    薬剤師は営業所に一人しか配置されないことが多く全て自分一人でやらなければなりません。

    分からないことは本社の薬事関連の部署や他営業所の薬剤師に確認しますが、自分一人ということで何かと不安や孤独を感じることがあります。

医薬品卸に向いている薬剤師・向かない薬剤師

医薬品卸に向き・不向きはあるのでしょうか。

向いているタイプ

  • 学生実習で自分に薬局・病院勤めは向いていないと感じた人
  • 給料よりもゆとりを重視する人
  • 人に教えることが好きな人
  • 勉強したり資料を作ったりすることが好きな人
  • 一人でこつこつ仕事したい人

向いていないタイプ

  • がっつり働いて稼ぎたい人・調剤、服薬指導等のスキルを磨きたい人
  • 出世したい人

終わりに

半年間の学生実習で「自分に病院や薬局務めは無理だ!」と感じたら、医薬品卸を就職先の候補にしてみてもいいと思います。

皆が思い描く薬剤師のイメージとはかけ離れていますが、医療従事者からの問い合わせに的確に回答できた時や、作成した資料を活用してもらえた時はとても嬉しいし、やりがいを感じられる仕事です。

一人薬剤師なので日々自分の成長を実感できますし、個人的にはオススメです。

この記事を書いた人

まい

薬剤師

宮城県出身。
薬学部薬学科卒業後、医薬品卸に就職。薬局・医療機関からの様々な問い合わせに的確に回答すべく日々奮闘中です。

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