日本は皆保険の制度をもつため医療保障が充実しています。
所得や被保険者など立場によっても異なりますが、日本に住んでいる患者さんは最大3割の負担で病院や薬局で最大限の治療を受けることが可能です。
日本に住んでいる外国人は同様の保障を受けられますが、海外に住んでいる日本人は除かれます。
しかし、この制度は国によって大きく異なります。
幼少時・仕事で計15年ほど海外に暮らした経験をもとに、
日本とアメリカ、カナダとの医療保険制度の違いをご紹介したいと思います。
米国は皆保険制度ではないため、個人によって受けられる治療が異なります。
癌になっても所得が高い、または大きな会社で働いている人はオペ等も含め最大限の治療を受けられるます。
しかし、所得が低い人は投薬のみで病気をコントロールするしかない、またはほぼ治療を受けることができないケースもあります。
中所得者の中でも所得が高めの方は、医療技術が進んでいるが米国よりは医療費が比較的安価であるシンガポールやインドに行って治療を受けることもあります。
海外で治療を受けたい患者さんを斡旋する会社も存在する程です。
カナダは皆保険ですが、保険でカバーされる治療や薬剤が国に決められています。
基本的には後発品を処方するシステムになっているため、決められている薬剤以外の医薬品や治療、先発品を希望する患者さんは、患者さん自身で全額を支払って処方してもらうシステムになっています。
規模の大きな会社等では国による保険医療制度ではカバーできない部分をカバーしてくれるような各々の会社独自の保険システムもあるようです。
また、保険診療の範囲ですが日本では疾患に対しては保険適応、妊娠や疾患の予防については自由診療や自費扱いと明確に基準が設定されていますが、カナダでは少し異なります。
妊娠は定期の妊婦検診も含めて保険診療ですが、カンジダ膣炎は保険診療外です。
ただし、こちらも大規模な会社では会社の保険システムでカバーすることもあるので、同じ疾患で同じ薬剤が処方されても患者さん毎に支払額が異なるという大変複雑なシステムになっています。
北米ではファミリードクター(かかりつけ医)の制度が浸透しているため、体調が悪ければまずはファミリードクターを受診し、ファミリードクターで適応範囲外または詳細の検査や診療が必要と判断された場合はスペシャリスト(専門医)へ送られ、患者さんはスペシャリストを受診します。
ただし、スペシャリストが少ないこと、検査にかかる医療機器が日本のように各医療機関に設置されている訳ではないことより、専門医による診察や検査までに半年かかることもあります。
私の友人でカナダに移住した台湾人がいますが、このカナダのシステムには大きな不満を持っているようでした。
カナダは皆保険ですが台湾も同様であるため、半年待ってカナダで診療を受けることは可能であるけれど、体調も悪いし半年も待っていられない、ということで彼女は台湾に戻って治療を受けていました。
緊急性がある患者さんから診察をしているようなので、友人に関しては緊急性が低いと判断されたのかもしれませんが、専門医でない一般内科医による所見のみで緊急性を判断されてしまうのは私自身も少し不信感を覚えたことがありました。
日本では、開業医さんでさえCTやレントゲンを持つ医療機関が多く、保険点数の影響もあり、患者さんが少しでも異常を訴えるとすぐに検査を実施することも医療費の増大に繋がっているという意見も多く聞きます。
今後、さらに高齢化社会となる日本にとって医療費の問題は検討課題の一つでありますが、各国の医療制度等も参考にした上で検討していただきたいと勝手に思っております。
長文になりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。
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