東北(岩手)の保険薬局指定取り消しからの学び

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伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

東北厚生局が岩手の保険調剤薬局2店舗(同一開設者)の指定取り消しを行ったと発表し、業界誌などで大きなニュースになっています。

このような指定取り消し事例は、今後の教訓として薬局経営者の方や管理薬剤師さんは頭に入れておく必要があると思ったので、情報をシェアしたいと思います。

保険薬局指定の取り消し理由

今回指定が取り消しになった理由をみていきたいと思います。(以下、東北厚生局の資料より抜粋)

①ある薬局で調剤を行ったものを、開設者が同一の他店舗での保険調剤分として保険請求させていた。

②調剤基本料について届出していない後発医薬品調剤体制加算の点数(平成22年度調剤報酬改定前の点数)を調剤録に記載した。

③服薬情報提供料及び服薬指導情報提供加算について実際には行っていないにもかかわらず、調剤録に記載した。

④調剤応需体制のある時間に処方せんの受付けをしたにもかかわらず、一部負担金は患者に請求せずに時間外加算を付増請求していた。

保険薬局取り消しからの学び・対策

①についてですが、基準調剤加算Ⅱの算定条件に在宅の実績が加わったことから、「在宅実績の多い店舗の処方を入力だけ他店にまわす」といった開設者もいると巷で聞くこともあります。しかし、調剤が実際に行われていない店舗での保険請求は完全アウトです。決してグレーゾーンではありません。

②についてですが、届出なしで後発医薬品調剤体制加算を算定するのは完全アウトですね。基準加算も同様です。なお、後発医薬品調剤体制加算を算定する場合は算定する月の初日(1日が土日祝の場合、厚生局の月初稼働日)までに届出しなければいけません。
2014年11月1日から算定する場合は11月4日までに届け出が必要です。(土日・祝をはさむため)

③ですが、①に関連して生じた問題だと推測されます。調剤した店舗で保険請求をする。これは徹底しなければいけません。

④ですが、たとえ従業員分であってもアウトです。

調剤業界はなかなか厳しい状況が続きますが、開設者の「少しの欲」が指定取り消しといった事態に陥る可能性があります。

薬局を経営する目的は何なのか?

地域の方々、従業員を幸せにするためには、事業を継続させることが経営者の義務ではないでしょうか。

その目的を見失わないようにしなければいけません。

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伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2006年 京都薬科大学 薬学部卒。

調剤併設ドラッグストアのスギ薬局に新卒で入社。
調剤部門エリアマネージャーを経験後、名古屋商科大学院経営管理学修士課程にて2年間経営学を学び、経営管理学修士号(MBA)を取得。
2013年4月、シナジーファルマ株式会社を設立。
2013年8月、薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」をリリース。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」は臨床で役立つ学術情報や求人広告を発信し月間24万PV(2023年6月時点)のアクセスが集まるメディアとして運営中。

2021年より福岡県北九州市にてティーダ薬局を運営(管理薬剤師)。

1983年11月 岡山県倉敷市で生まれ、水の都である愛媛県西条市で育つ。
大学より京都・大阪で14年間、沖縄Iターン特集立ち上げのため沖縄県で4年間暮らし、現在は福岡県民。
二児の父親。

当面の目標は、
「息子達の成長スピードに負けないこと」

座右の銘は、
「まくとぅそうけい なんくるないさ」
=「誠実に心をこめて精進していれば、なんとかなる!!」

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