静菌的抗菌薬と殺菌的抗菌薬の違い・代表的な薬剤一覧

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

「これは細菌を殺すお薬です」

抗菌薬の服薬指導の際、よく耳にする言葉だと思いますが、すべての抗生物質が「細菌を殺す」わけではありません

抗生剤は大きくわけて下記の2つの切り口で分類することができます。

  1. 静菌的抗菌薬
  2. 殺菌的抗菌薬

名前の通り、静菌的抗菌薬は分裂増殖時の細菌を静めて発育速度を抑え、殺菌的抗菌薬は分裂増殖時の細菌を殺すといった特徴があります。

下記に、静菌的抗菌薬と殺菌的抗菌薬について代表的な薬剤をまとめてみました。

抗菌薬(抗生物質)の分類(静菌的・殺菌的)

静菌的抗菌薬の一覧

・マクロライド系
クラリスロマイシン(クラリス)、アジスロマイシン(ジスロマック)など
蛋白合成阻害

・リンコマイシン系
グリンダマイシン(ダラシン)
蛋白合成阻害

・テトラサイクリン系
ミノサイクリン(ミノマイシン)、オキシテトラサイクリン(テラマイシン)、ドキシサイクリン(ビブラマイシン)
蛋白合成阻害

・クロラムフェニコール系
クロラムフェニコール系(クロマイ)
蛋白合成阻害

殺菌的抗菌薬の一覧

・βラクタム系
セフカペンピボキシル(フロモックス)、セフジトレンピボキシル(メイアクト)、アモキシシリン(サワシリン)
細胞壁の生合成を抑制

・アミノグリコシド系
ゲンタマイシン(ゲンタシン)
蛋白合成阻害(リボソーム30S)

・ホスホマイシン系
ホスホマイシン(ホスミシン)
細胞壁の生合成阻害

・ニューキノロン系
レボフロキサシン(クラビット)、オフロキサシン(タリビッド)、トスフロキサシン(オゼックス)
DNA・RNA合成阻害

このように抗生剤が「静菌的」か「殺菌的」かを把握しておくことで、「これは細菌を殺す薬です」といった画一的な服薬指導からの脱却に繋がると思います。

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2006年 京都薬科大学 薬学部卒。

調剤併設ドラッグストアのスギ薬局に新卒で入社。
調剤部門エリアマネージャーを経験後、名古屋商科大学院経営管理学修士課程にて2年間経営学を学び、経営管理学修士号(MBA)を取得。
2013年4月、シナジーファルマ株式会社を設立。
2013年8月、薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」をリリース。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」は臨床で役立つ学術情報や求人広告を発信し月間24万PV(2023年6月時点)のアクセスが集まるメディアとして運営中。

2021年より福岡県北九州市にてティーダ薬局を運営(管理薬剤師)。

1983年11月 岡山県倉敷市で生まれ、水の都である愛媛県西条市で育つ。
大学より京都・大阪で14年間、沖縄Iターン特集立ち上げのため沖縄県で4年間暮らし、現在は福岡県民。
二児の父親。

当面の目標は、
「息子達の成長スピードに負けないこと」

座右の銘は、
「まくとぅそうけい なんくるないさ」
=「誠実に心をこめて精進していれば、なんとかなる!!」

記事作成のサイトポリシーについてはコチラ

この投稿者の最近の記事

「伊川勇樹」のすべての投稿記事を見る>>

コメント欄ご利用についてのお願い

  • 薬剤師、薬学生、調剤事務、医師、看護師といった医療に携わる方が使用できるコメント欄となります。
  • 「薬剤師の集合知」となるサイトを目指していますので、補足・不備などございましたらお気軽に記入いただけると幸いです。
  • コメントの公開は運営者の承認制となっており「他のユーザーにとって有益な情報となる」と判断した場合にのみ行われます。
  • 記事に対する質問は内容によってお答えできないケースがございます。
  • 一般消費者からの薬学、医学に関する相談や質問は受けつけておりません。

CAPTCHA


※コメントはサイト管理者の承認後に公開されます

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」のFacebookページに「いいね!」をすると、薬剤師が現場で活躍するために役立つ情報を受け取ることができます。ぜひ「いいね!」をよろしくお願いします。

お客様により安全にご利用いただけるように、SSLでの暗号化通信で秘匿性を高めています。

ページトップに戻る