パーキンソン病は下記の4つの症状を特徴とします。
パーキンソン病は黒質メラニン含有神経細胞の変性が原因で線条体のドパミンが減ることから、ドパミンの前駆物質であるレボドパ製剤か、ドパミン伝達系を刺激するドパミン受容体刺激薬が治療の中心となります。
パーキンソン病治療薬の分類
パーキンソン病治療ガイドラインによるとレボドパ製剤を第一選択とするのは
となっています。
しかし長期的な視点でレボドパ製剤は薬効時間が短くなるwearing offなどによってコントロールが難しくなることがあります。
レボドパ開始後5年以上を経過すると過半数の患者に日内変動が出現するといわれています。
そのためレボドパ製剤が第一選択となる対象者以外は、ドパミンアゴニストで治療開始することがガイドラインで定められています。
今回はレボドバ製剤の特徴と一覧、服薬指導でのポイントついてまとめました。
パーキンソン病は脳内のドパミンの減少が原因であることから、脳内でドパミンを補うことが治療の一つとなります。
しかしドパミンは血液脳関門(blood-brain barrier:BBB)を通過できません。
そのためドパミンの前駆物質で血液脳関門を通過できるL-dopa(レボドパ)が使用されます。
脳に移行したレボドパはドパ脱炭酸酵素(Dopa-DeCarboxylase:DDC)によってドパミンに変換されます。
しかしドパ脱炭酸酵素は脳以外の末梢(腎臓、肝臓、小腸など)にも高濃度で存在するため、L-dopa(レボドパ)を投与しても9割近くが末梢で急速にドパミンに変換されてしまい血液脳関門を通過できません。
そのため末梢でドパ脱炭酸酵素(DDC)の働きを阻害するドパ脱炭酸酵素阻害薬 (Dopa-Decarboxylase Inhibitor:DCI)の配合剤が使用されます。
ドパ脱炭酸酵素阻害薬 (DCI)は下記の2種類があります。
DCIを配合することでレボドパの必要量を減らすことができ、悪心・食欲不振などの消化器症状や、不整脈、起立性低血圧などの循環器系の副作用を軽減することが可能となります。
カルビドパorベンセラジドが配合されたレボドパ製剤は下記のとおりです。
レボドパの量を1/4〜1/5に減量が可能。
デュオドーパ配合経腸用液は近位小腸に直接投与。
血中濃度のバラツキを抑え、効果が持続するため運動症状の日内変動を減少させる。
レボドパの量を1/5に減量が可能。
レボドパ製剤を長期で使用することで問題となるのが持続時間が短くなり、次の服用までに症状が強く現れてしまうwearing off(ウェアリングオフ)現象です。
wearing offの際にはレボドパを増強させたり持続時間を延長させる薬が追加されるケースがあります。
具体的にどのような薬剤が使用されるかピックアップします。
レボドパは末梢のDCC(ドパ脱炭酸酵素)だけでなくCOMT(カテコール-O-メチル基転移酵素)によっても分解されてしまいます。
レボドパ
↓DCC
ドパミン
レボドパ
↓COMT
3OMD(3-O-methyldopa)
エンタカポン(商品名:コムタン)はCOMTを阻害することで末梢でのレボドパの代謝を阻害し、レボドパの脳内移行を増加させます。
またレボドパ+カルビドパ(DCI)にエンタカポンを配合したスタレボ配合錠もwearing off現象が認められる際に使用されます。
脳内でのドパミンの代謝を阻害するのがMAO-B阻害薬であるセレギニン塩酸塩(商品名:エフピー)です。
レボドパ賦活薬のゾニサミド(商品名:トレリーフ)はチロシン水酸化酵素の活性化による脳内のドパミン量増加、ドパミン放出増加、MAO-B阻害によるドパミン分解抑制によって、レボドパ製剤の作用を増強・延長させます。
ゾニサミドは抗てんかん薬のエクセグランとしても存在します。
分類 | 一般名 | 商品名 |
---|---|---|
レボドパ単独 | レボドパ |
|
レボドパ + DCI |
レボドパ + カルビドパ 10対1 |
100mg |
レボドパ + カルビドパ 4対1 |
レボドパ2000mg |
|
レボドパ + ベンセラジド 4対1 |
レボドパ100mg |
|
レボドパ + DCI + COMT阻害薬 |
レボドパ + カルビドパ + エンタカポン |
L50 |
レボドパ製剤が処方された患者さんへ服薬指導のポイントをピックアップします。
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