イチョウ葉エキスの作用は?併用注意薬は?

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伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

初回質問票の摂取している健康食品の欄に「イチョウ葉エキス」と記載された患者さんに出会った経験はないでしょうか?

イチョウ葉エキスは「血液をさらさらにする」「血行を良くして肩こりを緩和する」「アルツハイマー型痴呆に効く」などいわれ、調剤併設ドラッグストアに勤務していた時に「イチョウ葉エキス」について質問されることが何度かありました。

イチョウ葉エキスはドイツやオーストリアでは医薬品として脳梗塞、脳卒中、痴呆症などの治療に使用されています。一方、日本では食品扱いのため、「健康食品」としてドラッグストアや薬局で販売されています。

イチョウ葉エキスにはどのような働きがあるのか?また薬剤師としてどのような点に注意すべきかまとめてみました。

イチョウ葉エキスの働き・作用

イチョウ葉エキスの成分であるテルペノイド類に分類される「ギンコライド」と「ビロバライド」と、フラボノイド類が大きく影響しているといわれています。

ギンコライドの働き

血小板凝集抑制
血小板活性化因子(PAF)を特異的に阻害することで、抗凝固作用があるとされています。

末梢血流の改善
血小板活性化因子(PAF)を特異的に阻害することで血液の循環がよくなり、めまいや頭痛、耳鳴りなどの脳循環障害、間欠性跛行の改善が期待されます。

活性酸素の除去
強力な活性酸素除去作用があります。

ビロバライドの働き

痴呆改善
「ビロバライド」は記憶をつかさどる「海馬」を刺激し記憶力を高める働きがあるといわれています。

フラボノイド類の働き


抗酸化作用

活性酸素やフリーラジカルの除去作用があります。また他の植物より強力といわれています。

イチョウ葉エキスとの併用に注意が必要な薬剤

「イチョウ葉エキス」は中~高齢者の方が摂取される傾向にあり、併用薬との相互作用に注意しなければいけません。

下記に注意するべき薬剤について挙げてみました。

・抗血栓薬
イチョウ葉エキスの血小板凝集抑制作用により出血傾向になる可能性あり。
バイアスピリン、ワーファリン、プレタール、NOAC(ノアック)など。

・血糖低下薬
イチョウ葉エキスがインシュリンの代謝、分泌に影響を及ぼす可能性あり。

・抗てんかん薬
イチョウ葉エキスとの併用でてんかん発作の回数が増えたという報告があり。

薬局で「イチョウ葉エキス」の摂取が分かった場合にはこれらの薬剤を服用していないかチェックしましょう。

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2006年 京都薬科大学 薬学部卒。

調剤併設ドラッグストアのスギ薬局に新卒で入社。
調剤部門エリアマネージャーを経験後、名古屋商科大学院経営管理学修士課程にて2年間経営学を学び、経営管理学修士号(MBA)を取得。
2013年4月、シナジーファルマ株式会社を設立。
2013年8月、薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」をリリース。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」は臨床で役立つ学術情報や求人広告を発信し月間24万PV(2023年6月時点)のアクセスが集まるメディアとして運営中。

2021年より福岡県北九州市にてティーダ薬局を運営(管理薬剤師)。

1983年11月 岡山県倉敷市で生まれ、水の都である愛媛県西条市で育つ。
大学より京都・大阪で14年間、沖縄Iターン特集立ち上げのため沖縄県で4年間暮らし、現在は福岡県民。
二児の父親。

当面の目標は、
「息子達の成長スピードに負けないこと」

座右の銘は、
「まくとぅそうけい なんくるないさ」
=「誠実に心をこめて精進していれば、なんとかなる!!」

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