ビスホスホネート製剤は破骨細胞の働きを強力に抑える事で骨吸収を防ぎ、骨量を増加させる今や骨粗鬆症の第一選択薬として使用されている薬剤であります。
ビスホスホネート製剤服用中の患者さまで薬剤師として最も注意するべき点は?
と聞いた場合、ほとんどの薬剤師さんが
「歯科医院への通院の有無を確認する」
「顎骨壊死の注意喚起」
と回答されるのはないでしょうか。
ビスホスホネート製剤による「顎骨壊死(読み方:がっこつえし)」とは、あごの骨が炎症を起こして壊死するもので抜歯などの侵襲的歯科治療によって誘発されます。
では実際どれくらいの割合で「顎骨壊死」が発生するのか?
現場で疑問に思ったことはないでしょうか?
発生頻度を見て行きたいと思います。
特に内服薬では注射薬に比べて低い確率となっていますが、顎骨壊死が起こりやすいリスクファクターは存在します(1)ので患者さまに応じて、注意喚起を行う必要があります。
ではリスクファクターを見ていきたいと思います。
窒素含有BP
ゾレドロン酸(商品名:ゾメタ)
アレンドロネート(商品名:テイロック、フォサマック、ボナロン)
リセドロネート(商品名:アクトネル、ベネット)
パミドロネート(商品名:アレディア)
インカドロネート(商品名:ビスフォナール)
ミノドロン酸(商品名:ボノテオ、リカルボン)
窒素非含有BP
エチドロネート(商品名:ダイドロネル)
クロドロネート
注射用製剤 :( 商品名:アレディア、ビスフォナール、テイロック、ゾメタ)
経口製剤 :( 商品名:ダイドロネル、フォサマック、ボナロン、アクトネル、ベネット)
・骨への侵襲的歯科治療(抜歯、歯科インプラント埋入、根尖外科手術、歯周外科など)
・口腔衛生状態の不良
・歯周病や歯周膿瘍などの炎症疾患の既往
・好発部位: 下顎>上顎、下顎隆起、口蓋隆起、顎舌骨筋線の隆起
がん、腎透析、ヘモグロビン低値、糖尿病、肥満、骨パジェット病
MMP-2 遺伝子、チトクロームP450-2C 遺伝子
薬物(ステロイド、シクロフォスファミド、エリスロポエチン、サリドマイド)、喫煙、飲酒
以上となります。
特に薬局で患者さんには、
・普段から口腔内を清潔に保つように伝えること
・抜歯、歯科インプラント埋入などの歯科治療の際は必ず主治医に相談すること
上記リスクファクターに応じて、患者さま個々に注意喚起をしていく必要がありそうです。
(1)ビスフォスフォネート関連顎骨壊死に対するポジションペーパーより抜粋
(ビスフォスフォネート関連顎骨壊死検討委員会)
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