プロスタグランジン関連薬一覧・作用機序の違い・服薬指導のポイント

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

緑内障治療薬の目薬は作用機序から大きく下記の3つに分類されます。

  1. 房水産生抑制
  2. 房水流出促進(繊維柱帯-シュレム菅経由)メイン経路
  3. 房水流出促進(ぶどう膜強膜流経由)サブ経路
作用機序 薬剤
房水産生抑制
  • 炭酸脱水酵素阻害薬
  • 交感神経β受容体遮断薬
  • 交感神経α2受容体刺激薬
房水流出促進
主経路(繊維柱帯シュレム菅経由)
  • 副交感神経刺激薬
  • Rhoキナーゼ阻害薬
房水流出促進
副経路(ぶどう膜強膜流経由)
  • プロスタグランジン関連薬
  • 交感神経α2受容体刺激薬
  • 交感神経α1受容体遮断薬

緑内障治療薬の中でも全身の副作用が少なく、処方頻度の高いのがプロスタグランジン関連薬(PG関連薬)です。

PG関連薬について作用機序の違い、服薬指導の注意点についてまとめました。

プロスタグランジン関連薬一覧・作用機序

プロスタグランジン(PG)関連薬剤一覧

一般名  商品名  1日回数 
イソプロピルウノプロストン レスキュラ点眼液0.12% 2回
ラタノプロスト キサラタン点眼液0.005% 1回 
トラボプロスト トラバタンズ点眼液0.004% 1回 
タフルプロスト タプロス点眼液0.0015%
タプロスミニ
点眼液0.0015%
1回
ビマトプロスト ルミガン点眼液0.03% 1回 

 

プロスタグランジン(PG)関連薬の作用機序

PG関連薬は副経路であるぶどう膜強膜流路から房水の排泄を促すことで眼圧を下げる作用があります。

PG関連薬でも細かく分けると「プロスタグランジンF誘導体」と「プロスタマイドF誘導体」に分類され、作用するポイントに違いがあります。

誘導体 一般名
(商品名)
作用する受容体
プロスタグランジンF誘導体 イソプロピルウノプロストン
(レスキュラ)
ラタノプロスト
(キサラタン)
トラボプロスト
(トラバタンズ)
FP受容体
プロスタマイドF誘導体 ビマトプロスト
(ルミガン)
PM受容体

プロスタグランジンF2α誘導体、エステラーゼによって代謝されFP受容体に作用することでぶどう膜強膜流路の抵抗を減らし、房水排泄を促します。

プロスタマイドF誘導体であるビマトプロストはそのままPM受容体に作用することでぶどう膜強膜流路の抵抗を減らし、房水排泄を促します。

プロスタグランジン関連薬・服薬指導のポイント

  • 目の周りに付着した薬剤を拭き取る。洗い流すのがベター!
    皮膚の黒ずみを防止するため(メラニン増加が原因)
    まつげの増加を防止するため(睫毛の毛周期の中の成長期が延長することが原因)
  • 容器の先端が目につかないように注意
  • 点眼薬併用時は5分以上間隔をあける
  • 虹彩色素沈着の副作用は白人は目立つが日本人では目立たないことが多い
    過度な不安を与えて治療に悪影響がでないように注意!
  • 保管方法の説明
    キサラタンは開封前は冷蔵庫保管、開封後は室温でOK。旅行時の対応を説明

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2006年 京都薬科大学 薬学部卒。

調剤併設ドラッグストアのスギ薬局に新卒で入社。
調剤部門エリアマネージャーを経験後、名古屋商科大学院経営管理学修士課程にて2年間経営学を学び、経営管理学修士号(MBA)を取得。
2013年4月、シナジーファルマ株式会社を設立。
2013年8月、薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」をリリース。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」は臨床で役立つ学術情報や求人広告を発信し月間24万PV(2023年6月時点)のアクセスが集まるメディアとして運営中。

2021年より福岡県北九州市にてティーダ薬局を運営(管理薬剤師)。

1983年11月 岡山県倉敷市で生まれ、水の都である愛媛県西条市で育つ。
大学より京都・大阪で14年間、沖縄Iターン特集立ち上げのため沖縄県で4年間暮らし、現在は福岡県民。
二児の父親。

当面の目標は、
「息子達の成長スピードに負けないこと」

座右の銘は、
「まくとぅそうけい なんくるないさ」
=「誠実に心をこめて精進していれば、なんとかなる!!」

記事作成のサイトポリシーについてはコチラ

この投稿者の最近の記事

「伊川勇樹」のすべての投稿記事を見る>>

コメント欄ご利用についてのお願い

  • 薬剤師、薬学生、調剤事務、医師、看護師といった医療に携わる方が使用できるコメント欄となります。
  • 「薬剤師の集合知」となるサイトを目指していますので、補足・不備などございましたらお気軽に記入いただけると幸いです。
  • コメントの公開は運営者の承認制となっており「他のユーザーにとって有益な情報となる」と判断した場合にのみ行われます。
  • 記事に対する質問は内容によってお答えできないケースがございます。
  • 一般消費者からの薬学、医学に関する相談や質問は受けつけておりません。

CAPTCHA


※コメントはサイト管理者の承認後に公開されます

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」のFacebookページに「いいね!」をすると、薬剤師が現場で活躍するために役立つ情報を受け取ることができます。ぜひ「いいね!」をよろしくお願いします。

お客様により安全にご利用いただけるように、SSLでの暗号化通信で秘匿性を高めています。

ページトップに戻る