ソフトコンタクトの上から点眼可能な抗アレルギー点眼薬

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

「この目薬、コンタクトレンズの上から点眼してもいいの?」

薬局でもよく聞かれる質問の一つではないでしょうか。

基本的には主治医の判断になりますが、ソフトコンタクトレンズと点眼液で問題になるのが、点眼液の防腐剤「ベンザルコニウム塩化物」による角膜障害です。

防腐剤である「ベンザルコニウム塩化物」をソフトコンタクトレンズが吸着することによって、レンズが触れている角膜に障害が起こることが報告されています。

ほとんどの抗アレルギー点眼薬は防腐剤である「ベンザルコニウム塩化物」を含有するため、ソフトコンタクトレンズを外して点眼することとなっていますが、アレジオン点眼液については「ベンザルコニウム塩化物」が含有されていないため、ソフトコンタクトレンズの上から点眼がOKとなっています。

抗アレルギー点眼薬とコンタクトレンズとの関係についてまとめてみました。

抗アレルギー点眼薬とソフトコンタクトについてのまとめ

インタール点眼液2%(クロモグリク酸ナトリウム)とコンタクトレンズ

本剤の保存剤であるベンザルコニウム塩化物による過敏症が知られている。

引用元 インタール点眼液添付文書 その他の注意事項

添付文書にはソフトコンタクトレンズの記載はありませんが、ベンザルコニウム塩化物を含むため注意が必要です。

ザジテン点眼液0.05%(ケトチフェンフマル酸塩)とコンタクトレンズ

ベンザルコニウム塩化物によりソフトコンタクトレンズを変色させることがあるので、ソフトコンタクトレンズを装用している場合は、点眼前にレンズを外し、点眼15分以上経過後に再装用すること。

引用元 ザジテン点眼液添付文書 

 

アレギサール点眼液0.1%(ペミロラストカリウム)とコンタクトレンズ

添付文書にはソフトコンタクトレンズの記載はありませんが、ベンザルコニウム塩化物を含むため注意が必要です。

リザベン点眼液0.5%(トラニラスト)とコンタクトレンズ

添付文書にはソフトコンタクトレンズの記載はありませんが、ベンザルコニウム塩化物を含むため注意が必要です。

ゼペリン点眼液0.1%(アシタザノラスト水和物)とコンタクトレンズ

ベンザルコニウム塩化物の含有なし

しかし、主成分のアシタザノラスト水和物と添加物のクロロブタノールがソフトコンタクトに吸着することが認められているため、ソフトコンタクトレンズを外して点眼するのが望ましいとのことです。

リボスチン点眼液0.025%(レボカバスチン塩酸塩)とコンタクトレンズ

本剤はベンザルコニウム塩化物を含有するため、含水性ソフトコンタクトレンズ装用時の点眼は避けること。

本剤の保存剤であるベンザルコニウム塩化物による過敏症が知られている。

引用元 リボスチン点眼液添付文書 重要な基本的注意・その他の注意

 

パタノール点眼液0.1%(オロパタジン塩酸塩)とコンタクトレンズ

本剤はベンザルコニウム塩化物を含有するため、含水性ソフトコンタクトレンズを装用したまま点眼することは避けること。

本剤に含まれているベンザルコニウム塩化物は、ソフトコンタクトレンズに吸着されることがあるので、点眼時はコンタクトレンズをはずし、10分以上経過後装用すること

引用元 パタノール点眼液添付文書 重要な基本的注意

 

アレジオン点眼液0.05%(エピナスチン塩酸塩)とコンタクトレンズ

2014年12月に防腐剤のベンザルコニウム塩化物をホウ酸に変更したことから全てのコンタクトレンズの上から使用がOKとなっています。

しかしアレルギー性結膜炎の場合はコンタクトレンズの装着自体を避けた方がいいため、コンタクトレンズの装着については主治医の判断となりますが、薬剤とコンタクトレンズとの影響は問題無しとなっています。

防腐剤フリー(PF)製剤について

日本点眼研究所からPF製剤(preservative free)という、防腐剤フリーの点眼液が発売されています。

抗アレルギー薬に関しては、ケトチフェンPF点眼液0.05%「日点」(ザジテンジェネリック)、クモロールPF点眼液2%(インタールジェネリック)、トラメラスPF点眼液0.5%(リザベンと同成分)があります。

これらは「ベンザルコニウム塩化物」を含有していないため添付文書にも「ソフトコンタクトレンズを外して点眼するように」の記載がありません。しかし、メーカーはソフトコンタクトレンズを外して点眼することを推奨されています。

防腐剤にアレルギーのある方や、コンタクトレンズがどうしても外せない方にはこのような防腐剤フリータイプも選択肢の一つとしてよいかと思います。

 

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2006年 京都薬科大学 薬学部卒。

調剤併設ドラッグストアのスギ薬局に新卒で入社。
調剤部門エリアマネージャーを経験後、名古屋商科大学院経営管理学修士課程にて2年間経営学を学び、経営管理学修士号(MBA)を取得。
2013年4月、シナジーファルマ株式会社を設立。
2013年8月、薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」をリリース。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」は臨床で役立つ学術情報や求人広告を発信し月間24万PV(2023年6月時点)のアクセスが集まるメディアとして運営中。

2021年より福岡県北九州市にてティーダ薬局を運営(管理薬剤師)。

1983年11月 岡山県倉敷市で生まれ、水の都である愛媛県西条市で育つ。
大学より京都・大阪で14年間、沖縄Iターン特集立ち上げのため沖縄県で4年間暮らし、現在は福岡県民。
二児の父親。

当面の目標は、
「息子達の成長スピードに負けないこと」

座右の銘は、
「まくとぅそうけい なんくるないさ」
=「誠実に心をこめて精進していれば、なんとかなる!!」

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