トリンテリックス(ボルチオキセチン)作用機序と服薬指導のポイント

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伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

新規作用機序である抗うつ薬、ボルチオキセチン(商品名:トリンテリックス10mg、20mg)の製造販売承認を武田薬品が2019年9月に取得しました。

ボルチオキセチンの特徴や、調剤時の注意点、薬局での服薬指導でのポイントについてまとめました。

作用機序

ボルチオキセチンは大きく2つの作用があります。

  • セロトニン受容体調節作用
  • セロトニン再取り込み阻害作用

セロトニン受容体調節

  • セロトニン5-HT3、5-HT7 及び 5-HT1D 受容体アンタゴニスト作用
  • 5-HT1B 受容体部分アゴニスト作用
  • 5-HT1A 受容体アゴニスト作用

→セロトニン・ノルアドレナリン・ドパミン・アセチルコリン・ヒスタミン遊離促進

セロトニン再取り込み阻害

  • セロトニントランスポーター(SERT)阻害作用

→セロトニン濃度上昇

これらの作用機序から、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)、ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA)とは異なる新しい機序の抗うつ薬に位置付けられます。

代謝

肝薬物代謝酵素
CYP2D6、CYP3A4/5、CYP2C19、CYP2C9、CYP2A6、CYP2C8、CYP2B6

投与量

治療量である10mg/DAYから投与開始可能
1週間以上あけて増量可能 MAXは20mg/DAY
ただし、CYP2D6のPM(Poor Metabolizer)はMAX10mg

服薬指導のポイント

  • 眠気、めまい等があわられることがあるので自動車の運転は注意
  • 眠気、めまいを自覚した場合は自動車の運転は避けるように指導
  • アルコールは避けることが望ましいと説明
  • セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品はセロトニン作用増強のため併用注意
  • 主な副作用は悪心(19%)、傾眠(6%)、頭痛(5.7%)(承認時1050例中)

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伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2006年 京都薬科大学 薬学部卒。

調剤併設ドラッグストアのスギ薬局に新卒で入社。
調剤部門エリアマネージャーを経験後、名古屋商科大学院経営管理学修士課程にて2年間経営学を学び、経営管理学修士号(MBA)を取得。
2013年4月、シナジーファルマ株式会社を設立。
2013年8月、薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」をリリース。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」は臨床で役立つ学術情報や求人広告を発信し月間24万PV(2023年6月時点)のアクセスが集まるメディアとして運営中。

2021年より福岡県北九州市にてティーダ薬局を運営(管理薬剤師)。

1983年11月 岡山県倉敷市で生まれ、水の都である愛媛県西条市で育つ。
大学より京都・大阪で14年間、沖縄Iターン特集立ち上げのため沖縄県で4年間暮らし、現在は福岡県民。
二児の父親。

当面の目標は、
「息子達の成長スピードに負けないこと」

座右の銘は、
「まくとぅそうけい なんくるないさ」
=「誠実に心をこめて精進していれば、なんとかなる!!」

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