「薬を飲み始めて太ってきたけど副作用?」
「食事の量は変わらないのに体重が増えてきた・・・」
薬局にて、抗精神病薬を服用される患者さんから、このような相談を受けた経験のある薬剤師もいらっしゃるのではないでしょうか。
NaSSAのリフレックス・レメロン(成分名:ミルタザピン)やジプレキサ(成分名:オランザピン)、コントミン(成分名:クロルプロマジン)、SSRIのパキシル(成分名:パロキセチン)、三環系抗うつ薬で体重増加の副作用が報告されています。
ではなぜ体重増加が起こってしまうのでしょうか?
体重増加の理由についてまとめてみたいと思います。
抗精神病薬の中には脳内のH1受容体を遮断する作用があります。
H1受容体が遮断されると、体重増加や脂肪組織の増大、食欲増進作用のあるグレリンという物質が分泌されてしまいます。
食欲が増大して体重が増加するだけでなく、脂肪組織を増大する作用もあるため「食事の量が変わらないのに太ってきた」と報告されることがあるのです。
抗精神病薬の中にはセロトニン受容体(5HT2c)を遮断する作用があります。
5HT2c受容体が遮断されると体重増加や脂肪組織の増大、食欲増進作用のあるグレリンが分泌されてしまいます。
そのため食欲亢進や脂肪組織が増大し体重増加が起こる可能性があります。
体重増加をきたす可能性がある代表的な薬についてピックアップします。
三環系抗うつ薬
三環系抗うつ薬ではH1受容体遮断作用により体重増加の副作用がでることがあります。体重増加が気になる場合はSSRIに処方変更となることがあります。
NaSSA
5H1受容体遮断作用により5%以上で体重増加、1~5%未満で過食、食欲亢進の副作用が報告されています。
体重増加が問題になる場合はSSRIやSNRIへの処方変更となる場合があります。
四環系抗うつ薬
定型抗精神病薬
非定型抗精神病薬・MARTA
MARTAではH1受容体と5HT2cを遮断するため体重増加を引き起こす可能性があります。
体重増加が問題になる場合は、体重増加が起こりにくいエビリファイ(成分名:アリピプラゾール)に処方変更されるケースがあります。
このように抗精神病薬の中でも体重増加が起こりやすい薬が存在します。
特に女性の患者さんの場合、体重を気にされる方も多くいらっしゃるかと思います。
「急に太ってきた」
「食べる量も変わらないのに体重が増えてきた」
といった相談が薬剤師にあった場合は、主治医に相談すれば体重増加が起こりにくい薬剤へ変更されるケースもあることをお伝えしてみるのもよいかと思います。
薬剤師は患者さんに必要以上に不安をあたえず、自己判断で服用を中止しないように注意しなければいけません。
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