抗精神病薬であるシクレスト(アセナピンマレイン酸塩)は、海外ではアセナピンマレイン酸塩は「統合失調症」と「双極性障害Ⅰ型での躁症状」の効能で使用されていますが、日本では2016年3月に「統合失調症」の適応で製造販売承認を取得しました。
シクレスト舌下錠(アセナピンマレイン酸塩)の作用機序、特徴、副作用についてまとめてみました。
多元受容体標的化抗精神病薬(MARTA)であり、
ドパミン神経系(D2、D3、D4)
セロトニン神経系(5HT2A 、 5HT2B 、 5HT2C 、5HT6 、5HT7 )
アドレナリン神経系(α1A、α2)
などのアンタゴニストとして作用します。
ドパミンD2受容体をブロックすることで陽性症状(妄想・幻覚など)の改善に、セロトニン5HT2A受容体やアドレナリンα2受容体をブロックすることで陰性症状(意欲の衰退、集中力の低下など)を改善します。
またセロトニン5HT2A受容体拮抗作用により認知機能障害の改善や錐体外路障害、高プロラクチン血症の軽減にも寄与されると推測されています。
5HT2c受容体拮抗作用は抗不安作用、5HT6,7受容体拮抗作用は認知機能の改善に寄与するとされています。
親和性はドパミンD2受容体<セロトニン5HT2A受容体となっています。
主な副作用としては「眠気」、α1受容体遮断作用による「起立性低血圧」「射精障害」があります。抗コリン作用は弱いため、「便秘」や「口渇」の副作用は少ないといった特徴があります。
他のMARTAであるジプレキサ(オランザピン)やセロクエル(クエチアピン)と比べると、シクレスト(アセナピン)は抗H1作用が少ないため「体重増加」の副作用も少ない傾向にあります。
またシクレスト舌下錠特有の副作用として口の痺れ、口腔内の感覚マヒがあることから、
初めて処方される場合は特に服薬指導時でお伝えした方がよいでしょう。
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