「生理が不順になってきたのでドグマチールはストップするといわれました。」
「胸がはってきたことを伝えたらドグマチールが中止になりました。」
心療内科や精神科の処方を受ける薬局ではこのようなケースに遭遇することが多くあるかと思います。
ドグマチール(スルピリド)といえば、低用量(150mg/day)では視床下部交感神経中枢に作用し、胃・十二指腸潰瘍の治療薬として使われます。
また高用量(150~1200mg/day)では脳内ドパミン受容体を遮断することで、うつ(150~300mg/day MAX600mg)や統合失調症(300~600mg/day MAX1200mg)に効果があるとされています。
なぜドグマチール(スルピリド)によって女性化乳房や月経異常などが生じるのか?簡単にまとめてみました。
下垂体前葉から分泌されるホルモンにプロラクチンがあります。
プロラクチンは、乳腺の分化・発達、乳汁の合成や分泌、黄体を刺激し排卵を抑えるといった働きがあります。
ドグマチール(スルピリド)は脳内の視床下部に作用し、プロラクチンの分泌を抑制する因子の分泌を抑制することで、プロラクチンの値が高くなり乳汁分泌や女性化乳房といった症状が現れることがあります。
またプロラクチンが高くなることで卵胞刺激ホルモン放出ホルモン(FSH-RH)、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH-RH)の分泌が抑制され、性周期の変調や無月経などの月経異常が生じることがあります。
ドグマチールの製造販売元のアステラス製薬のインタビューフォームによると、
精神領域の治療で報告された副作用の確率は
乳汁分泌 0.88%
乳腺腫大・乳房腫脹 0.14%
月経異常 1.17 %
となっており、副作用で最も多いのが睡眠障害の2.83%となっています。
このような月経異常や胸の張りが薬の副作用とは知らずに我慢する患者さんもいらっしゃると思います。
副作用と気づかず、長期で連用させるのは薬剤師が介入するからには絶対に避けたいところです。
しかし、月経異常や乳腺腫大・乳房腫脹の副作用を薬局で確認する際にはプライバシーに特に注意する必要があります。
ダイレクトに聞けない場合は、
「最近、胸が痛くなったりしないですか?」
「飲み始める前に比べて体調で変わったことはないですか?」
というふうに患者さんに合わせて確認してみてはいかがでしょう。
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