こんにちは。
メディカルライターのサエです。
多くの透析患者さんが悩まされているのが「便秘」です。
透析患者さんではなぜ「便秘」が生じやすいのでしょうか?
透析患者さんに起こる便秘の原因とその対策について述べたいと思います。
透析患者さんが便秘になる原因として、
などが考えられます。
透析患者は便秘の副作用でやすい薬剤が処方されることも、便秘となる原因の一つです。
便秘の副作用がある代表的な薬剤をあげていきます。
便秘対策として水分、食物繊維を多く摂取するというのが一般的ですが、透析患者さんの場合は水分制限、カリウム制限があるため難しいです。
食物繊維を摂る際は、カリウムの量に注意していく必要があります。
茹でるなど調理方法を工夫して、カリウムを減らすなどしていくと良いでしょう。
また、透析患者さん向けの食物繊維健康食品もあります。
水分摂取については難しいですが、早朝に一口だけでも水を飲んで、腸を刺激することも大事です。
便意を催したらすぐにトイレに行く、朝食後に便意がなくてもトイレに行く習慣をつけるのがいいです。
また、お腹をマッサージして腸を刺激したり、ウォーキングなど適度な運動を行うのも便秘対策になります。
1日3回食べるなど規則正しい生活を習慣づけることも大事です。
体調に応じて便秘の原因となる薬物の減量・中止も検討します。
下剤の使用にあたって、透析患者さんの場合は注意が必要です。
例えば、下剤としてよく使われる酸化マグネシウムは透析患者さんの場合、高マグネシウム血症を引き起こすリスクがあるため原則的に使用しません。
便意が起こらない場合は、刺激性下剤であるセンノシド(商品名:プルゼニド)、センナ(商品名:アローゼン)、ピコスルファートナトリウム水和物(商品名:ラキソベロン)が主に使用されます。
また便が硬くてでにくい場合は、糖類下剤であるD-ソルビトールやラクツロース、水分分泌促進薬であるルビプロストン(商品名:アミティーザ)が使用されます。
これらの刺激性下剤、糖類下剤は腎機能障害がある患者さんに対して減量の必要はありません。
一方、水分分泌促進薬ルビプロストンについては中等度、重度の腎機能障害がある患者さんでは活性代謝物の血中濃度が上昇するので、1日1回24μgと少量から開始(通常は48μg分2)して慎重に投与します1)。
私は透析クリニックの門前薬局で働いていましたが、このルビプロストンは透析の患者さんに度々処方されていました。
なかなか便秘が治らない患者さんでもこれを飲んだらよく効いたとおっしゃっていました。
しかし、効きすぎて下痢になる方も結構いて、毎日服用せず、数日おきに服用している患者さんが多かったです。
また悪心・嘔吐の副作用にも注意しなければいけません。
透析患者さんの便秘は頑固でなかなか治りにくいです。
頑固な便秘は腸閉塞や腸管穿孔といった重篤な病気を引き起こす原因にもなるので、しっかりとケアしていく必要があります。
私達薬剤師ができることは、便秘を引き起こす薬が増量したり追加されたら、その後も便秘の副作用が起きたり悪化していないかチェックしていくことだと思います。
【参考文献】
1)アミティーザ添付文書
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