こんにちは。
健康食品の話題を担当しているエビデンスエージェントの工藤知也です。
歯科で聞こえるキィーンという独特のサウンド。
あまり思い出したくありませんが、会話の中に時々登場しますね。
それだけ私達の日常で歯の衛生が身近な証拠でしょう。
そこで今回は歯磨剤に注目します。
歯磨剤?食品では無いのでは?と疑問に思いますね。
歯磨剤は医薬部外品で医薬品と化粧品の間に位置しています。
予防的機能を演じる医薬部外品には健康食品と同様の役割を感じます。
予防機能としては、虫歯予防・歯周病予防・知覚過敏ケア・口臭予防・美白が一般的です。
歯磨きをしない日なんてありません。
歯磨剤を選ぶとき、特に高齢者では「これをいつも使っているから」と
同じ歯磨剤を使い続けているのではないでしょうか。
常在菌は普段おとなしいものですが、
免疫力が低下すると違った顔を見せる時があります。
それが日和見感染症ですね。
口腔内の常在菌であるカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)も原因菌になります。
カンジダ菌は誤嚥性肺炎の原因になるので見逃せません1)。
高齢者の3割以上でカンジダ菌を検出している2)ので、 特別な疾患とは言えないでしょう。
それでは毎日の歯磨きで口腔カンジダ症を予防できないのでしょうか?
歯磨き剤に抗菌作用と言ってもピンとこないかもしれませんが、
高齢者にとってはその手軽さから有効な解決策になりそうです。
そこで、抗菌物質としてヒノキチオールに着目します。
ヒノキチオールは台湾ヒノキが産生する抗菌物質として、
これまでも医薬部外品や化粧品として評価を得てきました。
しかし、歯磨剤に混ぜたヒノキチオールが期待通りの抗菌作用を発揮するのでしょうか?
東京医科歯科大学らの研究グループは、ヒノキチオール配合歯磨剤(イーエヌ大塚製薬)のカンジダ菌に対する抗菌活性について報告しています1)。
まずは、カンジダ菌液(1×107~108/mL)を調製します。
そして、ヒノキチオール配合歯磨剤5gに菌液0.05mLを混合して37℃で1, 3, 5分間作用させて生菌数を計測しました。
すると、1分以上のヒノキチオール配合歯磨剤との接触で約60%のカンジダ菌が死滅したのです。
高齢者にお勧めする際には「歯をしっかり磨くように」だけではなく、
実験結果から明らかとなる時間や効果の具体的な数字を伝えたいですね。
※リフレケアH製品紹介/リフレケア
私はまだまだ高齢者の域には入りませんが、
ヒノキチオール配合歯磨剤としてイーエヌ大塚製薬のリフレケア®Hを使用してみました。
リフレケアは低刺激性のため発泡剤や研磨剤が入っていませんが、
泡立ち感も気にならず刺激性が少ないのでとても使いやすい印象です。
また驚いたことに風味が1日中持続しており口臭予防を実感できます。
高齢者では唾液分泌能の低下が口腔の状態の悪化を招きます。
それを歯磨きでケアすることも可能なのです。
毎日行う歯磨きに組み込むことで忘れを防ぎ、
また風味の好みを自ら選択できることも利点ではないでしょうか。
今回は歯磨剤の抗菌効果について注目しました。
ヒノキチオール配合歯磨剤が高齢者の口腔カンジダ症を予防して、
結果的に誤嚥性肺炎の発症を防ぐ可能性があるのです。
薬局でも積極的に歯磨きについて提案していきたいですね。
食品と同様に、口の中に毎日入る歯磨剤にも思わぬ訴求ポイントがありました。
引用文献
1. 佐藤 則文, 他. ヒノキチオールを配合した口腔ケア用品の抗菌作用. Dental Diamond.2008; 33(4): 164-168.
2. Senpuku H, et al. Systemic diseases in association with microbial species in oral biofilm from elderly requiring care. Gerontology. 2003; 49: 304.
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