貧血のうち90%以上を占めるのが鉄欠乏性貧血です。
そのため薬局では鉄欠乏性貧血の患者さんの処方を受けるケースも多いのではないでしょうか。
鉄欠乏性貧血の治療薬と服薬指導のポイント、患者さんから質問を受けやすい内容についてまとめていきたいと思います。
自覚症状を伴わない場合もありますが、主な自覚症状は下記のとおりです。
鉄欠乏性貧血の原因は大きく4つに分かれます。
鉄欠乏性貧血の指標 | 基準値 |
ヘモグロビン(Hb) | 【正常値】 男性14〜18g/dl 女性12〜16g/dl 12g/dl未満が鉄欠乏性貧血の診断目安 |
MCV 赤血球1個あたりの平均的な大きさ |
【正常値】 約83〜108fL 医療機関によって異なる |
MCH 赤血球1個あたりの平均的なヘモグロビン量 |
【正常値】 約28〜35pg 医療機関によって異なる |
MCHC 赤血球1個あたりの平均的なヘモグロビン濃度 |
【正常値】 約30〜36% 医療機関によって異なる |
総鉄結合能(TIBC) | 360μg/dl以上が鉄欠乏性貧血の診断目安 |
血清フェリチン 貯蔵鉄量の指標 |
【正常値】 25ng/ml〜250ng/ml 12ng/ml未満が鉄欠乏性貧血の診断目安 |
鉄欠乏性貧血以外と他の貧血の鑑別のためには、
下記を満たす必要があります。
ヘモグロビン(Hb)低下
12g/dl未満
↓
小球性貧血であること
MCV MCH MCHCが低値
↓
血清フェリチン低下
12ng/ml未満
↓
総鉄結合能(TIBC) 増加
360μg/dl以上
鉄欠乏性貧血と診断されると、
食事からの鉄の補充だけでは治療が困難であり、薬物治療が行われます。
内服薬は下記の4成分が存在します。
関連記事
フェロミアとフェログラデュメットの違い・使い分け・副作用
食品に含まれる鉄にはヘム鉄(吸収率 約10〜30%)と非ヘム鉄(吸収率 約1〜8%)があります。
ヘム鉄の方が吸収されやすいことから、生理時や妊娠・授乳時の鉄欠乏性貧血の予防にはヘム鉄の積極的な摂取が推奨されます。
鉄剤を服用して、ヘモグロビンの数値が改善したけど、飲み続けないといけないですか?
ヘモグロビンが改善したとしても、貯蔵鉄が補充されるまで飲み続けなければいけません。
通常は3〜6ヶ月は投与が継続されます。
鉄剤服用中に市販のヘム鉄のサプリメントは摂取してもいいですか?
医療用の鉄剤には十分な鉄が含まれていますので、通常はサプリメントでの追加摂取は必要ないと考えられます。1日に食事で必要な鉄は10mg前後ですので、100mgの鉄剤を服用すると食事からの必要摂取量の10倍程度摂取していることになりますからね。
お茶やコーヒーなどは避けるように言われたことがありますが・・。
緑茶や紅茶、コーヒーなどに含まれるタンニンは鉄と結合して鉄の吸収を阻害することが報告されています。
しかし鉄欠乏性貧血の場合は消化管での鉄吸収が亢進していることや、医療用の鉄剤は鉄の含有量が多いことから、薬物治療中に緑茶や紅茶、コーヒーを摂取してもヘモグロビンの回復に影響はないというのが最近の考え方です。
ビタミンCと一緒に鉄をとると吸収がよくなると聞きましたが、ビタミンCの薬は処方されないのですか?
鉄とビタミンCを併用すると鉄の吸収が増加するといわれていますが、医療用の鉄剤には十分な鉄が含まれていますので、ビタミンCが処方されていない限りは無理にビタミンCを服用する必要はないと考えます。
ただし、鉄欠乏性貧血を予防するために、普段の食事で吸収率の悪い非ヘム鉄についてはビタミンCと一緒に摂取することが推奨されています。
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」のFacebookページに「いいね!」をすると、薬剤師が現場で活躍するために役立つ情報を受け取ることができます。ぜひ「いいね!」をよろしくお願いします。
お客様により安全にご利用いただけるように、SSLでの暗号化通信で秘匿性を高めています。
コメント欄ご利用についてのお願い
※コメントはサイト管理者の承認後に公開されます