ピコプレップ配合内容剤の特徴・作用機序・服用方法

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伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

大腸内視鏡検査、大腸手術時の前処置薬であるピコプレップ配合内容剤(販売メーカー:フェリングファーマ)が2016年7月に製造販売承認を取得しました。

大腸内視鏡検査や手術の際は、腸管内容物を取り除くのが不可欠です。ピコプレップは既存の腸管洗浄剤である、ニフレックやモビプレップに比べて、オレンジフレーバーで飲みやすい製剤として開発されています。

ピコプレップ配合内容剤の有効成分と作用機序、使用方法についてまとめてみました。

有効成分と作用機序

 

有効成分 作用機序
ピコスルファート
ナトリウム水和物
大腸の細菌により、活性型(BHPM※)に代謝。
BHPMが腸管蠕動運動の亢進・水分吸収阻害により瀉下作用あり。
酸化マグネシウム 水に溶解するとクエン酸マグネシウムになり、腸管内への水分移行促進。
水分吸収を抑制し、腸管容積を増大⇒蠕動運動の亢進。
無水クエン酸

bis (p-hydroxyphenyl) -2-pyridylmethane

効能・効果

 

大腸内視鏡検査及び大腸手術時の前処置における腸管内容物の排除

 

使い方・用法用量

 

ピコプレップの服用方法は下記の2通りがあります。

「分割投与(検査or手術前日に1回+検査or手術当日に1回服用)」
「前日投与(検査or手術前日に2回服用)」

それぞれの服用方法について、詳しく説明していきます。

分割投与(検査or手術前日に1回+検査or手術当日に1回服用)の飲み方

検査or手術の前日は低残渣食(ていざんさしょく)といって消化によいものを摂るようにし、当日は透明な飲料のみを摂取します。前日の夜と当日の朝(検査or手術4~9時間前)の2回ピコプレップを服用します。

1回1包を約150mlの水に溶解し服用し、1回目の服用後は1回250mlの透明な飲料を数時間かけて最低5回、2回目の服用後は1回250mlの透明な飲料を検査又は手術の2時間前までに最低3回飲用します。透明な飲料は一気に飲まずゆっくりと飲みます。

前日投与(検査or手術前日に2回服用)の飲み方

検査or手術の前日は低残渣食(ていざんさしょく)、当日は透明な飲料のみとし、前日の夕食後1時間以上経ってからピコプレップを服用します。その後、約6時間後に2回目のピコプレップを服用します。夕食後の時間を極力早くすることをオススメするとよいでしょう。

1回1包を約150mlの水に溶解し服用し、1回目の服用後は1回250mlの透明な飲料を数時間かけて最低5回、2回目の服用後は1回250mlの透明な飲料を検査又は手術の2時間前までに最低3回飲用します。透明な飲料は一気に飲まずゆっくりと飲みます。

透明な飲料とは?

・お茶(温かいもの/冷たいもの)
・スポーツドリンク (ポカリスエット・アクエリアスなど)
・具のない透明なスープ(コンソメスープなど)
・透明なリンゴジュース 
・透明な色の炭酸飲料 
・水

ピコプレップ服用時には2L以上の透明な飲料が必要となりますので、水以外の飲料を1L以上用意するように指導しましょう。水のみの服用の場合、電解質異常を起こす可能性があるため、水だけを摂取するのは避けるようにお伝えしましょう。

牛乳やアルコール、果肉の入った飲料は避ける必要があります。

低残渣食(ていざんさしょく)とは?

消化によい食事のことで、素うどんや食パン、豆腐、バナナ、じゃがいも(皮なし)、ゆで卵、ささみ、白身魚などです。

より詳しい使用方法はフェリングファーマのホームページに記載されています。

服用上の注意点

・ピコプレップの1回目を服用して2回目服用までに便がでない場合は2回目服用を中止する。(通常は30分~1時間で排便が始まります。)

・ピコプレップを服用し下記のような症状がでた場合、使用をただちに中止するよう伝えましょう。

・気分が悪い・ 吐き気がする ・嘔吐した・息苦しい・顔が青ざめる・めまいがする ・寒気がする ・顔がむくむ ・発疹が出る ・ひどくおなかが痛む

 

特徴(味・禁忌・副作用)

 

・モビプレップやニフレックなどのポリエチレングリコール(PEG)電解質溶液は製剤特有の味があるが、ピコプレップはオレンジフレーバーで服用しやすい。
・クレアチニンクリアランスが30ml/min未満には禁忌。
・副作用は下記の通りです。

国内の臨床試験において424例中39例(発現率9.2%)58件の副作用(臨床検査値異常を含む)が報告された。その主なものは血中マグネシウム増加8件(1.9%)悪心6件(1.4%) 直腸炎5件(1.2%)であった。(承認時)

重大な副作用としてアナフィラキシー、腸管穿孔、腸閉塞、鼠径ヘルニア嵌頓、虚血性大腸 炎、高マグネシウム血症、低ナトリウム血症、低カリウム血症(いずれも頻度不明)を起こすことがある。

引用元 ピコプレップ配合内容剤インタビューフォーム

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伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2006年 京都薬科大学 薬学部卒。

調剤併設ドラッグストアのスギ薬局に新卒で入社。
調剤部門エリアマネージャーを経験後、名古屋商科大学院経営管理学修士課程にて2年間経営学を学び、経営管理学修士号(MBA)を取得。
2013年4月、シナジーファルマ株式会社を設立。
2013年8月、薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」をリリース。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」は臨床で役立つ学術情報や求人広告を発信し月間24万PV(2023年6月時点)のアクセスが集まるメディアとして運営中。

2021年より福岡県北九州市にてティーダ薬局を運営(管理薬剤師)。

1983年11月 岡山県倉敷市で生まれ、水の都である愛媛県西条市で育つ。
大学より京都・大阪で14年間、沖縄Iターン特集立ち上げのため沖縄県で4年間暮らし、現在は福岡県民。
二児の父親。

当面の目標は、
「息子達の成長スピードに負けないこと」

座右の銘は、
「まくとぅそうけい なんくるないさ」
=「誠実に心をこめて精進していれば、なんとかなる!!」

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