プリンペラン(一般名:メトクロプラミド)とナウゼリン(一般名:ドンペリドン)。
どちらも同じドパミン受容体拮抗薬として処方頻度が高い薬剤かと思います。
プリンペラン(メトクロプラミド)とナウゼリン(ドンペリドン)の作用機序、それぞれの違い、注意点についてまとめてみました。
プリンペラン(メトクロプラミド)とナウゼリン(ドンペリドン)は上部消化管や延髄CTZのD2受容体に対して拮抗的に作用します。
ドパミンがドパミンD2受容体に結合することでアセチルコリンの遊離が抑制されるのですが、ナウゼリンやプリンペランはD2受容体拮抗薬として位置づけられアセチルコリンの遊離を促進させる働きがあります。
アセチルコリンの遊離を促進させることで弱った胃腸の運動を高め、消化器機能の異常を改善します。
また延髄にある化学受容器引き金帯・CTZ(chemoreceptor trigger zone)にも働き、抑吐作用も有します。
ナウゼリン(ドンペリドン)とプリンペラン(メトクロプラミド)のどちらの添付文書にも、「内分泌機能異常(プロラクチン値上昇)、錐体外路症状等の副作用があらわれることがある」と記載があります。
ナウゼリン(ドンペリドン)は血液-脳関門を通過しにくい薬剤ですが、プリンペラン(メトクロプラミド)は血液-脳関門を通過しやすい薬剤なので特に注意が必要です。
D2拮抗薬によって脳内のドパミンが減少することで、錐体外路障害(パーキソン様症状)がでるのはイメージしやすいかと思いますが、内分泌機能異常が起こる原因はプリンペランのインタビューフォームに記載されていましたので抜粋します。
本剤は視床下部に作用を有することから下垂体に影響を与え、プロラクチン抑制因子の分泌を抑制する。これによりプロラクチン値が上昇し、内分泌機能異常による乳汁分泌等の副作用が発現する。また卵胞刺激ホルモン放出ホルモン(FSH-RH)、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH-RH)の分泌が抑制されるため、性周期の変調や無月経をみることがある。錘体外路症状については可逆的なものであることから、投与中止後正常に戻るものである。本剤の使用に際してはこれらの副作用を意識し、有効性と安全性を考慮した上で使用することが必要である。
引用元 プリンペランインタビューフォーム
またナウゼリン(ドンペリドン)は動物実験で骨格、内臓異常等の催奇形作用が報告されているため添付文書上では妊婦には禁忌となっています。
以上の内容について、最低限薬剤師が把握しておくポイントをピックアップしたいと思います。
転院された患者様が、前医からのメトクロプラミドを漫然処方され錐体外路障害が現れたケースを実際に経験したことがあります。薬剤師が関与することで予想される副作用は防がなければいけません。
またドグマチール(スルピリド)やコントミン(クロルプリマジン)などの抗ドパミン作用がある薬剤との併用には慎重に経過チェックしていきましょう。
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