【機能性ディスペプシア】アコファイドから学ぶ『情報リテラシー』

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

アコファイド錠100mgといえば世界初の機能性ディスペプシアに効果のある薬として注目を集めました。

様々なメディアが、「機能性ディスペプシアに効果あり!!」と取り上げています。

果たして、本当に正しい表現なのでしょうか?

世の中には様々な情報が溢れています。

その情報を鵜呑みにするのではなく、自分自身で考えて判断し、そして患者さまや、周りの医療従事者に向けて情報を発信する事、すなわち「情報リテラシー」が薬剤師にとって必要なスキルであるように思います。

機能性ディスペプシアとは


a.
辛いと感じる食後のもたれ感
b.早期飽満感(食事してすぐに満腹になってしまう)
c.心窩部痛(みぞおちあたりが痛い)
d.心窩部灼熱感 (みぞおちのあたりに熱感がある)

これらの症状が一つでもある場合、加えて、上部消化管内視鏡検査などにて症状を説明可能な器質的疾患がない。以上が、半年以上前からあり、少なくとも最近3ヶ月は上記の診断基準を満たしていること。

であります。

アコファイドは心窩部の疼痛や灼熱感の効能・効果はない

 
しかし、アコファイド錠100mgの添付文書を見てみると、

【効能又は効果】
機能性ディスペプシアにおける食後膨満感,上腹部膨満感,早期満腹感

となっています。

つまり、機能性ディスペプシアの症状である心窩部痛や心窩部灼熱感には効能効果は確立されていないのです!

アコファイドの添付文書をよく読むと、

【効能又は効果に関連する使用上の注意】

機能性ディスペプシアにおける心窩部の疼痛や灼熱感に対する有効性は確認されていない

としっかり明記されています。 メディアを通じて情報を収集すると、

「アコファイド=機能性ディスペプシアに効く薬」

とついつい勘違いしてしましそうですが、あくまで機能性ディスペプシアの一部に効果があるという事が添付文書から容易に分かるのです。

SNSやブログなど様々なメディアによる情報が溢れる中、メディアの情報だけに振り回されない事、情報を鵜呑みにせず、自分自身で選択して編集し発信する、すなわち「情報リテラシー」がこれから特に求められると思います。

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2006年 京都薬科大学 薬学部卒。

調剤併設ドラッグストアのスギ薬局に新卒で入社。
調剤部門エリアマネージャーを経験後、名古屋商科大学院経営管理学修士課程にて2年間経営学を学び、経営管理学修士号(MBA)を取得。
2013年4月、シナジーファルマ株式会社を設立。
2013年8月、薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」をリリース。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」は臨床で役立つ学術情報や求人広告を発信し月間24万PV(2023年6月時点)のアクセスが集まるメディアとして運営中。

2021年より福岡県北九州市にてティーダ薬局を運営(管理薬剤師)。

1983年11月 岡山県倉敷市で生まれ、水の都である愛媛県西条市で育つ。
大学より京都・大阪で14年間、沖縄Iターン特集立ち上げのため沖縄県で4年間暮らし、現在は福岡県民。
二児の父親。

当面の目標は、
「息子達の成長スピードに負けないこと」

座右の銘は、
「まくとぅそうけい なんくるないさ」
=「誠実に心をこめて精進していれば、なんとかなる!!」

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