酸化マグネシウムによる高マグネシウム血症について

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

こんにちは。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」編集長の伊川勇樹です。

先日新聞にも大々的に報道された「酸化マグネシウムによる高マグネシウム血症」

死亡事例もあったことから、酸化マグネシウム製剤の添付文書について「慎重投与」の項目に「高齢者」が追加となりました。

頻度は低いかと思いますが、「なぜ高マグネシウム血症が起こるのか?」「どのような症状なのか?」についてまとめてみました。

高マグネシウム血症が起こる理由・メカニズム

高マグネシウムの原因はざっくりと下記の2つに分類されます。

①腎機能障害による排泄の低下

②マグネシウム製剤の過剰摂取

要するに、Mgがたくさん入るか、出ていかないか、またはその両方かということですね。

VD3製剤(アルファカルシドール、カルシトリオール)の同時摂取でMgの血中濃度が上昇することもあるので注意が必要です。

高マグネシウム血症の症状は?

血中のMg濃度別に身体に現われる症状についてまとめてみました。

4.9mg/dl~

悪心・嘔吐・起立性低血圧

6.1mg/dl~12.2mg/dl

心電図異常(PR,QT延長など)

9.7mg/dl~

腱反射消失、随意筋麻痺

18.2mg/dl~

昏睡、血圧低下、心停止

重症化を薬局薬剤師が防ぐ

臨床現場ではマグネシウム製剤が使い勝手がよいことから頻繁に処方されると思います。

高マグネシウム血症の頻度は決して高くはないとは思いますが、重症化すると死亡に至る可能性もあるので注意が必要です。

利尿剤などが処方されていなくても、腎機能の低下する患者さん、高齢者も多くいらっしゃるので、「吐き気」や「めまい」などの有無を確認し、定期的に血中のMg濃度をチェックしておいた方がよいでしょう。

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2006年 京都薬科大学 薬学部卒。

調剤併設ドラッグストアのスギ薬局に新卒で入社。
調剤部門エリアマネージャーを経験後、名古屋商科大学院経営管理学修士課程にて2年間経営学を学び、経営管理学修士号(MBA)を取得。
2013年4月、シナジーファルマ株式会社を設立。
2013年8月、薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」をリリース。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」は臨床で役立つ学術情報や求人広告を発信し月間24万PV(2023年6月時点)のアクセスが集まるメディアとして運営中。

2021年より福岡県北九州市にてティーダ薬局を運営(管理薬剤師)。

1983年11月 岡山県倉敷市で生まれ、水の都である愛媛県西条市で育つ。
大学より京都・大阪で14年間、沖縄Iターン特集立ち上げのため沖縄県で4年間暮らし、現在は福岡県民。
二児の父親。

当面の目標は、
「息子達の成長スピードに負けないこと」

座右の銘は、
「まくとぅそうけい なんくるないさ」
=「誠実に心をこめて精進していれば、なんとかなる!!」

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