薬剤師からもしてほしい「シックデイ」についての説明

この記事を書いた人

ショウ

東北医科薬科大学 薬学部卒
薬剤師

こんにちは。

病院薬剤師で糖尿病療養指導士のショウです。

薬剤師は糖尿病患者にたくさんのことを指導しなればなりませんが、低血糖とならんでシックデイについても説明する必要があります。

なぜシックデイに注意しないといけないのでしょうか。

シックデイや問題となる合併症、実際に私が行っている指導内容についてご紹介したいと思います。

シックデイとは?

シックデイについて患者のみならず医療スタッフも「聞いたことはあるけど詳しくはちょっと・・・」とういう方が多いのではないでしょうか。

シックデイとは「病気の日」のことで、糖尿病患者が糖尿病以外の病気になったときに、血糖値が上がったり下がったりと不安定な状態になることをいいます。

シックデイ時に注意する糖尿病急性合併症

なぜシックデイ時に血糖コントロールに注意をしなければいけないかというと、急性合併症を起こしやすくなるからです。

急性合併症は大きく下記の2つに分けられます。

  • ケトアシドーシス
  • 高血糖高浸透圧症候群

それぞれの症状について説明します。

ケトアシドーシス

インスリンが不足している時や食事を十分に摂れない時、脂肪がエネルギー源として使われます。

その時に肝臓ではケトン体が作られ、そのケトン体が血中に溜まっていく状態を「ケトアシドーシス」といいます。

嘔気・嘔吐や腹痛などの消化器症状が現れ、進行すると意識障害を起こします。

ケトアシドーシスの原因として多いのが、普段からインスリン治療をしている患者さんが自己判断でインスリンを中断してしまうことです。

ケトアシドーシスを防ぐためにもインスリン注射は自己判断で中止してはいけないということを指導しなければいけません。

高血糖高浸透圧症候群

高血糖時は脱水状態になりやすくなります。

病気によっては下痢や発熱で脱水を起こし、また食欲が低下していると食事からの水分摂取も減り、さらに脱水を強めます。

そして脱水状態では血液が濃縮されるので血糖値がより高くなります。

このような悪循環を繰り返し、高度の脱水と高血糖を起こした状態を「高血糖高浸透圧症候群」といいます。

全身の血流が悪くなり、臓器の働きが低下します。
特に高血糖高浸透圧症候群を注意しなければならないのは高齢の糖尿病患者です。

高齢者は体内の水分量が少ないため脱水状態になりやすい傾向にあります。

シックデイの過ごし方のポイント

シックデイの過ごし方についてのポイントをご紹介します。

特に高齢者には急性合併症の機序などを説明するよりも、シックデイ時に何をしてほしいかを伝える方が重要です。

①自分の病気の状態の把握

体温や血糖を測り、自分の状態を把握してもらいましょう。

②水分摂取・食べられる物を食べる

食欲が無くても脱水を防ぐために水分補給が重要です。

炭水化物は消化も良く、また味噌汁やスープなどは電解質の補給にも適しているので、シックデイ時の食事としておすすめできます。

③シックデイルールを決める

主治医とシックデイ時のルールを決めているか確認しましょう。
シックデイルールを特に決めていない場合、自己中断しないように説明が必要。

④早期受診

高熱や高血糖が続いたり、食事が摂れない時はすぐ受診するように促しましょう。

最後に

シックデイの対応については、シックデイでない時から患者に理解いただく必要があります。

そのため、定期的にシックデイについて理解いただいているか、ルールを決めているかの確認は行わなければいけません。

そしてシックデイ時の過ごし方を薬剤師が指導することで、高血糖や低血糖、合併症の防止にも繋がると考えています。

この記事を書いた人

ショウ

東北医科薬科大学 薬学部卒
薬剤師

東北医科薬科大学を卒業後、そのまま宮城の病院にて勤務中。

総合病院ならではの様々な疾患、薬と日々向き合っています。

糖尿病療養指導士の資格を取ったので、今後も自己研鑽を積んでいきたいです。

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