食後の血糖値の上昇を抑えるαグルコシダーゼ阻害薬がミグリトール(商品名:セイブル)です。
ミグリトールの作用機序、服薬指導のポイントについてまとめてみました。
ミグリトール(セイブル)は小腸粘膜で糖質を分解する消化酵素(αグルコシダーゼ)を阻害することで、糖質がグルコースに分解されるのを抑え、食後の血糖値の上昇を抑えます。
具体的な作用点について図にまとめてみました。
ミグリトール(セイブル)にはでんぷんやスクロースだけでなくラクトースとトレハロースの分解も抑える作用があります。
アカルボース(グルコバイ)にある唾液・膵液のαアミラーゼ阻害作用はミグリトール(セイブル)にはありません。
ミグリトールの用法・用量は下記の通りとなっています。
通常、成人にはミグリトールとして1回50mgを1日3回毎食直前に経口投与する。なお、効果不十分な場合には、経過を十分に観察しながら1回量を75mgまで増量することができる。
食直前は食事の5分前となります。食後の血糖値の上昇時に、より効果を発揮させるために食直前で服用することとなっています。
食直前に飲み忘れる場合は「お箸を持ったら服用しましょう」と伝えることで飲み忘れ防止にも繋がると考えています。
セイブルのインタビューフォームによると、高い確率で鼓腸(ガスが溜まりお腹が張ること)や下痢が報告されています。
糖が分解されないまま大腸に達することで腸内細菌による発酵を受けてガス(水素・二酸化炭素)を発生させ、お腹の張りや、おならの回数が増えること(放屁)が報告されています。
総症例1030例中、副作用が報告されたのは519例(50.4%)であった。主な症状は鼓腸197例 (19.1%)下痢188例(18.3%)腹部膨満153例(14.9%)低血糖80例(7.8%)であった。[セイブル錠効能追加時]
引用元 セイブルインタビュフォーム
作用機序・作用部位の図を見てもわかる通り、ミグリトール(セイブル)は他のαGIにはないラクトースやトレハロースの分解を抑える作用があります。
ラクトース(乳糖)の分解を抑えることで、下痢の副作用が他のαGIに比べて多く報告されています。
まず下痢の副作用ですが、ラクトース(乳糖)の分解阻害が原因ですので、乳製品の過剰摂取を避けるように指導しましょう。
また炭水化物を多く含む芋類などは服用初期には避けて、食事はよく噛んでゆっくりと摂ることで、腹部膨満感の副作用を軽減できると考えられています。
腹痛が続いたり、下痢が続く場合は相談するように伝えましょう。
アカルボースやボグリボースは経口吸収されませんが、ミグリトール(セイブル)は小腸上部から吸収される特徴があります。
理論上は小腸上部で吸収されるため、小腸下部での糖質の分解を抑えず、お腹の張りやおならの副作用が軽減されると考えられますが、実際は他のαGIと同じように腹部膨満感などの副作用が多く報告されています。
セイブルのインタビューフォームによるとバイオアベイラビリティが60%であることから、残りの40%が小腸下部でも作用するためと考えられます。
・低血糖の症状の具体例を伝える。
(動悸・手足の震え・強い空腹感・冷や汗・脱力感など)
・低血糖時の対処方法を伝える。
(ブドウ糖5~15g摂取・砂糖はダメ)
・低血糖が起こりやすいケースを伝えておく。
(他の糖尿病薬と併用時、シックデイ、激しい運動後、過度な飲酒、食事を摂らない時)
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