2019年、私の勤務する薬局で厚生局による新規個別指導の機会がありました。
必ず来るものと分かっていても、
「ついに来たか・・・。」と
まるで召集令状がきたかのような心境になるのが個別指導の案内ですね。
保険薬局の新規個別指導では
という通常のチェックポイントに加えて
その時々における重点ポイントというのがあります。
今回の指導では特に以下の点について重要視されていましたので紹介したいと思います。
算定項目についてチェックだけで済ませるのではなく、具体的な記載が必要です。
特に薬の追加や用量変更などがあった場合は
体調変化「有」とし、
例えば「眼圧上昇」や「鼻炎症状改善傾向」などを記載しましょう。
数年前に処方箋に残薬についての項目が追加され、
医師から指示があれば残薬の確認を行い、報告が必要なことは周知の通りです。
そのことからも想像がつくように
残薬確認は現在、非常に重要視されているポイントです。
その目的は増え続ける医療費の抑制にあります。
医師から確認の指示がなくても、
投薬の際には残薬の確認を行い薬歴に記載しましょう。
残薬がある場合は、何が何日分といった
できるだけ具体的な数量を記載するとともに
飲み忘れのための残薬か、早めの受診のための残薬か、などの記載があれば、継続的な指導にも活かせると思います。
手帳の活用については
併用薬との重複による無駄な医療費削減も目的の一つです。
薬局によっては、自宅にある残薬を患者さんに手帳に記載して持参してもらい
残薬確認にも活用しているという薬局もあると思います。
ちなみに、手帳持参率が50%(月平均)を下回ると、
薬歴管理料が13点に減額されてしまいます(2019年時点)。
“平成30年度診療報酬改定により、平成31年4月から、「適切な手帳の活用実績が相当程度あると認められない保険薬局」に該当した場合には、薬剤服用歴管理指導料の注9の規定により特例として13点を算定する取扱いが適用されます。
6ヶ月以内に再度処方箋を持参した患者の薬剤服用歴管理指導料の算定回数のうち、手帳を持参した患者への薬剤服用歴管理指導料の算定回数の割合が50%以下(小数点以下四捨五入)である保険薬局が、「適切な手帳の活用実績が相当程度あると認められない保険薬局」とされます。
引用元 関東甲信厚生局HP
通常薬歴管理料は、手帳あり41点、手帳なし53点ですので
13点の特例になってしまった場合、
月1000枚の薬局では、月に28万円から40万円の減収となります。
この減額はペナルティに近いのではないか!と感じるくらい
薬局の経営的にはかなり痛手です。
逆に言えば、それくらい手帳の持参、活用を国は推奨しています。
持参していない方や不要という患者さんに対し、薬剤師としてどのように取り組んでいるかをチェックされます。
手帳についてどのような指導を行ったかについても薬歴に記載しておきましょう。
2019年から薬剤師以外の者が一部の調剤業務を行うことが正式に認められました。
薬剤師として期待される業務が
調剤という「物」から、患者さんへの指導という「人」へ
変化していることが明確です。
服薬状況などの十分な情報収集と
薬学的観点からの具体的な指導が行われているか、というのがポイントとなります。
薬歴に記載された内容が
「薬効、用法用量説明」や「経過観察」だけでは不十分とされます。
患者さん個々に対して、薬や健康のプロフェッショナルとして
どのような指導を行っているかがチェックされます。
指導内容はしっかりと薬歴に記載し、継続的な指導を行っていきましょう。
薬剤師に求められるものが時代とともに変化してきています。
それを具体的に感じるのが個別指導の場ではないかと思います。
国としての大きな問題である高齢化社会に伴う医療費の拡大。
必要な人に必要な支援が行き渡るように無駄を省くことは
社会にとっても、患者さん個人にとってもメリットがあると思います。
薬局の業務も他の産業などと同様に
自動分包機や軟膏混合機、ピッキング監査システムなど
人でなくてもできる部分は年々機械化が進んでいます。
今後5年後、10年後、と
薬剤師の業務は今とは更に変わっている可能性も高いと思います。
患者さん個々の状況や気持ちに寄り添いながら
幅広い知識を持って服薬指導にあたることができれば
医師や看護師とは違った角度から患者さんの治療や健康維持に貢献でき
今後も変わらず、必要とされる薬剤師でいられると思います。
かかりつけ薬剤師の制度も本来はそこを目指すための制度のひとつなのでしょう。
しかし、文書を取り交わすとか、条件とか、月何名のノルマとか
ちょっとハードルが高くなってしまいました。
そんな難しいことは置いておいて
患者さんから信頼を得て、指名されるような薬剤師を
私は理想の薬剤師像としています。
患者さんの治療や健康維持に貢献することを目的とし、
そのために日々、いろいろなことに興味を持って
薬剤師としてのスキルを高めていきたいと感じました。
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