こんにちは。
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」の伊川です。
小学校・中学校・高校だけでなく、幼稚園、保育園(認定こども園)でも学校薬剤師が必置となっているため学校薬剤師の仕事内容は多岐に渡ります。
私も保育園からの依頼で学校薬剤師をさせていただいており、感染症対策やアレルギー、アナフィラキシー対応について、講義をしたり衛生管理のアドバイスなどをおこなっております。
これらの情報は、学校薬剤師だけでなく、薬局薬剤師も必要な情報だと思いますので、こちらでもアップしていきたいと思います。
今回は感染症について、基本的な考え方、感染経路、感染経路別の病原体、基本的な予防についてまとめてみました。
感染症が成立するために、病原体、感染経路、感受性宿主(かんじゅせいしゅくしゅ)の3つが揃わなければ感染症は成立しません。
感受性宿主(かんじゅせいしゅくしゅ)とは感染する「対象者」のことをいいます。
仮に、細菌やウイルスなどの病原体と、感染するヒト(感受性宿主)があったとしても、感染経路がなければ感染は成立しません。
あたりまえの話かもしれませんが、この感染症の本質を理解することで感染症を最小限に抑えることができます。
特に幼稚園や保育園では、児童間の距離も近く濃厚な時間を過ごすことから「感染」が生じやすい場所であります。
感染症を最小限に抑えるためにも「感染経路」について、先生や保護者の方々に正しく知ってもらう必要があります。
保育園や幼稚園、学校での感染経路は主に4つに分類されます。
①飛沫感染
②飛沫核感染(空気感染)
③接触感染
④経口感染
それぞれについて詳しくみていきたいと思います。
感染している人が咳やくしゃみ、会話をした際に、口から飛ぶ病原体が含まれた小さな水滴(飛沫)を近くにいる人が浴びて吸い込むことで感染します。飛沫が飛び散る範囲は1~2mと狭いのが特徴です。
飛沫感染する病原体は?
細菌
A群溶血性レンサ球菌(溶連菌)、百日咳菌、肺炎球菌、肺炎マイコプラズマ
ウイルス
インフルエンザウイルス、アデノウイルス、風しんウイルス、ムンプスウイルス、RS ウイルス、エンテロウイルス、麻しんウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス
感染者の咳やくしゃみ、会話をした際、口から飛び出した小さな飛沫が乾燥し、病原体(飛沫核)が感染性を保ったまま空気の流れによって拡散し、近くの人だけでなく、遠くにいる人もそれを吸い込んで感染します。空気感染は、室内などの密閉された空間内で起こる感染経路であり、空調が共通の部屋なども含め、その感染範囲は空間内の全域になります。
飛沫核感染する病原体は?
細菌
結核菌
ウイルス
麻しんウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス
接触感染は、握手やだっこ、キスなどといった直接触れることで感染する直接感染と、汚染されたドアノブや遊具などを触ることで感染する間接感染とがあります。しかしどれも皮膚に接触しただけで感染するのではなく、眼や鼻をこすったり、口に手をいれたり、粘膜を通じて感染が生じます。
接触感染する病原体は?
細菌
黄色ブドウ球菌、肺炎球菌、百日咳菌、腸管出血性大腸菌
ウイルス
RS ウイルス、エンテロウイルス、アデノウイルス、ロタウイルス、ノロウイルス、風しんウイルス、ムンプスウイルス、麻しんウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス
病原体を含んだ食物や水分を経口で摂取することによって、病原体が消化管に達して感染が起きます。
経口感染する病原体は?
細菌
黄色ブドウ球菌、腸管出血性大腸菌、サルモネラ菌、カンピロバクタ、赤痢菌、コレラ菌等
ウイルス
ロタウイルス、ノロウイルス、アデノウイルス、エンテロウイルス
このように感染経路によって、感染する病原体も異なってきます。どんな病原体がどのような経路で感染するのか?正しく理解することで予防にも繋がります。
飛沫感染の細菌・ウイルスを予防するには、マスクの着用、咳やくしゃみを人にむけないといった「咳エチケット」、換気、部屋の湿度を50~60%に保つことです。(60%以上ではダニが繁殖するので注意)
飛沫核感染は感染の範囲が広いため基本的には病原体を持つ人を隔離することになります。また接触感染には手洗い、うがい、経口感染には加熱や食品取扱者の手洗い・体調管理などが予防方法になります。
感染を完全に阻止することは難しいですが、正しい知識を持ち、共有することで、子供の被害を最小限に抑えることができると考えています。
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