骨粗鬆症治療薬エディロール(活性型ビタミンD3製剤)は 高Ca血症の副作用に注意

この記事を書いた人

Kay (ケイ)

広島大学 薬学部卒 
研修認定薬剤師

私の勤務している薬局の門前にある婦人科クリニックからは、
ビタミンD製剤の処方が多くきます。

女性ホルモンの低下とともに骨密度の減少がみられるためです。

先日、エディロール0.75μg(一般名:エルデカルシトール)を服用中の患者さんが来局され、処方が0.5μgに変更になっていたので理由を確認したところ、

血中のカルシウムの値が上がりすぎちゃったみたいです。

とのことでした。

患者さんとしては
「ビタミン剤だし、そんなに強い副作用はないのでは?」
と考えがちかもしれませんが
薬剤師はビタミンD製剤による高Ca血症の副作用については
頭に入れておく必要があるでしょう。

高カルシウム血症が起こりやすい要因

脱水時

脱水状態になると血液中のCa値は上昇しやすくなります。
特に夏場や、水分が摂れない時は脱水に注意しなければいけません。

Ca含有サプリメントの摂取

骨密度が低下している患者さんにおいてはCaを積極的に摂るほうがよいと考えることは自然なことですが、ビタミンD製剤を服用中はカルシウム入りのサプリメントの摂取には注意が必要です。
併用薬の確認の際はサプリメントの摂取についても確認しておきましょう。
尚、小魚や牛乳など、食事においてCaを意識して摂る程度であれば特に問題ないようです。

高齢者など腎機能低下している患者さん

腎機能が低下しカルシウムの排泄が低下している場合は高Ca血症が起こりやすくなります。
エディロールは肝代謝ですが、カルシウムの排泄については腎機能についても留意が必要です。

高カルシウム血症の初期症状

高Ca血症の主な初期症状は下記のとおりです。

  • けん怠感
  • いらいら感
  • 嘔気
  • 口渇感
  • 食欲減退
  • 意識レベルの低下

これらの初期症状について気になることがあれば医師に報告するように説明すると同時に
定期的に血液検査を行っているか確認しましょう。

エディロールはビタミンD製剤の中でも効果が高い製剤ですが
高Ca血症の副作用についても他剤よりも注意が必要です。

国内臨床試験における安全性評価対象症例802例中309例(38.5%)で456件の副作用が認められた。主な副作用は、尿中カルシウム増加163件(20.3%)、血中カルシウム増加120件(15.0%)、血中尿酸増加(高尿酸血症を含む)15件(1.9%)及び高カルシウム血症12件(1.5%)等であった。
引用元 エディロール添付文書

エディロール0.5μgの処方について

Ca値上昇が確認された場合は、一時的に0.75μgから0.5μgへ変更しますが、
通常は0.5μgの処方はCa値が上昇した場合のみ処方される規格です。

添付文書にはエディロール0.5μgの使用について以下の記載があります。

本剤1日1回0.5μg投与による骨折予防効果は確立していないため、漫然と投与を継続せず、患者の状態に応じ、1日1回0.75μgへの増量又は他剤による治療への変更を考慮すること。
引用元 エディロール添付文書

しかし、実際の医療現場では、初回投与から0.5μgが処方されたり 長期に渡って0.5μgが処方されているケースもあるようです。

このようなケースでは薬剤師としては一度、処方医の意図について疑義照会を行う必要があると思います。

医師がエディロールの高い効果を期待するが、副作用を避けたいという意図での減量処方である場合は、

  • 0.5μgでの骨折予防効果は確立していないこと
  • 0.5μgであっても高Ca血症などの副作用の確認のために定期的に血液検査を実施していただきたいということ

以上2点は処方医に確認しておきましょう。

まとめ

  • ビタミンD製剤は高Ca血症の副作用に留意が必要である。
  • エディロールは他のビタミンD製剤に比べて効果が高いが、高Ca血症の副作用の発現確率も高い。
  • ビタミンD製剤服用時はCaサプリメントの併用についても確認が必要である。
  • エディロール0.5μgはカルシウム値が上昇した場合のための規格であり、それ以外のケースでの処方については処方医に確認を行う必要がある。

この記事を書いた人

Kay (ケイ)

広島大学 薬学部卒 
研修認定薬剤師

愛媛県出身 
現在は東京在住。

化粧品メーカーの営業・販売員教育職を経て、薬剤師歴16年のアラフィフです。

総合病院の門前薬局、商店街にある下町の調剤薬局、オフィスビルの医療モール内薬局などで幅広い処方箋の応需経験があります。

婦人科、皮膚科、眼科、患者さまとのコミュニケーション術などについて、私なりの視点でお伝えできればと思います。

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