エイベリス点眼液(オミデネパグイソプロピル)作用機序・服薬指導のポイント

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notnot

崇城大学薬学部 薬学科卒
研修認定薬剤師

緑内障治療薬であるEP2受容体作動薬エイベリス点眼液0.002%(一般名:オミデネパグイソプロピル)が2018年11月に薬価収載されました。

プロスタグランジン製剤(PG関連薬)は「色素沈着眼瞼部多毛の副作用防止のため顔を洗わなければならないので面倒くさい」、β遮断薬は気管支喘息の患者には禁忌という問題があります。
単剤だとなかなか眼圧が下がらない方や、点眼薬を併用すると服薬コンプライアンスが悪くなるなどといった問題があります。

このような背景から新規作用機序の緑内障治療薬として開発されたのが、エイベリス点眼液です。

エイベリス点眼液は、非プロスタグランジン骨格の低分子化合物で選択的なEP2受容体作動薬であるオミデネパグプロドラッグオミデネパグ イソプロピルを有効成分とする緑内障治療薬となっております。

2019年11月30日までは処方日数の投与制限がありましたが、2019年12月1日からは処方日数の投与制限が解除され長期処方が可能となりました。

エイベリス点眼液の特徴や服薬指導のポイントについてまとめました。

作用機序

房水流出促進作用を有するプロスタノイド(FP) 受容体作動薬プロスタグランジン誘導体)が緑内障治療薬の第一選択薬です。

しかしプロスタノイド(FP) 受容体作動薬でもラタノプロストなどのPG関連薬色素沈着眼瞼部多毛といった副作用が問題になります。

エイベリス点眼液(オミデネパグイソプロピル)はプロスタノイド(FP) 受容体のサブタイプの中でも房水流出にフォーカスするEP2受容体を選択的に刺激します。

オミデネパグがEP2受容体に選択的に結合して線維柱帯流出路(主経路)及びぶどう膜強膜流出路(副経路)を介した房水流出を促進することで眼圧を下降させると考えられています。

EP2受容体を選択的に刺激し房水流出にフォーカスすることで、既存のプロスタノイド(FP) 受容体作動薬で問題となる色素沈着や眼瞼部多毛といった副作用を引き起こさないことが特徴です。

調剤・服薬指導のポイント

  • 通常の用法用量は1日1回1回1滴
  • 無水晶体眼又は眼内レンズ挿入眼の患者には禁忌
    →黄斑浮腫による視力低下。視力障害が現れる可能性があるため。
  • タフルプロスト(商品名:タプロス点眼液)を投与されている患者は禁忌。
    →中等度以上の羞明、虹彩炎等の眼炎症が高頻度に認められているため。
  • 開封前は冷蔵庫に保管する。
  • 開封後は室温(1~30℃)で専用の遮光用点眼袋にて保管する(1ヶ月以内)。
  • 点眼前は汚染を防ぐため石鹸と流水で手を洗ってから使用する。
  • 点眼後、皮膚に付着した薬剤をティッシュなどでふき取る。
  • 一時的に霧視羞明等があらわれることがあるため、その症状が回復するまで機械類の操作や自動車等の運転には従事させないように注意
  • 虹彩炎、ぶどう膜炎等の眼炎症性疾患のある患者、閉塞性緑内障患者には慎重投与。
  • 目薬を差した後は全身性の副作用を軽減するため、涙嚢圧迫をする。
  • 他剤と併用するときは5分以上間隔を開けて点眼をする。
  • ベンザルコニウム塩化物を含有しているためコンタクトレンズは外して点眼し、点眼後15分以上あけて装着する。(コンタクトレンズの変色を防ぐため)

参考
・エイベリス点眼液 添付文書 インタビューフォーム

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崇城大学薬学部 薬学科卒
研修認定薬剤師

2009年崇城大学卒業後、調剤薬局で4年9か月勤務し、結婚退職。

調剤薬局では、眼科、糖尿病内科での門前を経験。
現在は夫の転勤族のため、派遣薬剤師としてフルタイムで働く。

今後は新しい挑戦として、眼科や派遣で働いていることを活かし、役立つ情報を発信していきます。

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