レキサルティ(ブレクスピプラゾール)作用機序・特徴

この記事を書いた人

まい

薬剤師

こんにちは。

薬剤師ライターのまいと申します。

2018年4月に発売された統合失調症治療薬であるレキサルティ錠(一般名:ブレクスピプラゾール)について取り上げたいと思います。

大塚製薬株式会社によってエビリファイ(一般名:アリピプラゾール)の構造変換の過程で発見された化合物であることからエビリファイと構造式が類似しています。

2015年に特許が切れたエビリファイの後継品として、メーカーとしては今後こちらを押していくことになると思われます。

レキサルティ錠の作用機序特徴についてまとめました。

※統合失調症の病態・従来の治療薬について、こちらのページが分かりやすくまとめられています。

統合失調症の病態と治療薬一覧

レキサルティはエビリファイにセロトニン作用を併せ持った薬剤

レキサルティはエビリファイと同様に、ドパミンD2受容体に対して低い固有活性を有しています(パーシャルアゴニスト)。

完全に遮断せずわずかに刺激作用を持つことでD2受容体遮断により生じる錐体外路症状が軽減されます。

レキサルティは、上記の特徴に加え、セロトニン5-HT1A受容体部分刺激作用セロトニン5-HT2A受容体遮断作用を有しています。

ではセロトニン5-HT1A受容体部分刺激作用、セロトニン5-HT2A受容体遮断作用がどのような効果が期待されるのか説明します。

セロトニン受容体サブタイプの影響

  • セロトニン5-HT1A受容体部分刺激
    陰性症状、認知機能、不安・抑うつの改善
  • セロトニン5-HT2A受容体遮断
    錐体外路症状の軽減、陰性症状、睡眠、認知機能の改善

このようにドパミンとセロトニンの作用を適切に調節するため、レキサルティはSDAMSerotonin-Dopamine Activity Modulator)と呼ばれています。

効果・効能と用法・用量

【効能・効果】
統合失調症のみ。(2018年5月時点)

【用法・用量】

  • 成人に1日1回1㎎から投与開始し、4日以上の間隔をあけて増量し、1日1回2mgを経口投与。成人のみの適応です(2018年5月時点)。
  • CYP2D6阻害剤(キニジン、パロキセチン等)・強いCYP3A4阻害剤(イトラコナゾール、クラリスロマイシン等)を併用する場合は用法用量の調節が必要です。
  • 食事の影響はないので服用時間は患者の生活リズムに合わせて決めることができます。

副作用-エビリファイやSDAとの比較-

主な副作用は、

アカシジア(5.7%)高プロラクチン血症(4.0%)
国内臨床試験 578例中
頭痛(6.3%)不眠(5.7%)
外国の主要なプラセボ対照二重盲検試験 942例中

となっています(1)

エビリファイで起こりやすい不眠、神経過敏、アカシジア、振戦、不安や、SDA(リスパダール、ルーラン等)で起こりやすい高血糖、脂質異常等の副作用について、発生頻度はいずれもレキサルティのほうが低くなっています。

半錠の可否について

半錠の可否についてメーカーDIの回答として「不可ではないが推奨はされない」とのことです。

理由は下記のとおりです。

  • 錠剤に割線がなく半割を想定していない、ゆえに半割の安定性データをとっていない。
  • 参考データとして粉砕時安定性(温度30℃、湿度75%、暗所で1か月間保管した場合、性状・含量に変化なし)がありますが、あくまで処方医の判断に委ねる。

錠剤径が6.1mmであることや、半減期は53~67hr(健康成人1,2,4mgを空腹時単回投与した場合)と長いため(1)、1mg未満の場合は半錠でなく隔日で処方されることも想定されるでしょう。

レキサルティはエビリファイの改良版

レキサルティはエビリファイの改良版と言えますので、新規やエビリファイで副作用が出ている患者さんについて処方機会が多く持たれると考えられます。

力価は、エビリファイ24㎎≒レキサルティ2mgに相当とのこと。

レキサルティはエビリファイに比べて副作用が少ないため長期で服用しやすく、併用している睡眠薬や抗不安薬の減量、中止も期待できます。

エビリファイの持つ双極性障害やうつの適応の他、PTSD(心的外傷後ストレス障害)、BPSD(認知症に伴う行動心理症状)についても2018年現在臨床試験中とのことですので適応拡大が期待されます。

参考資料 
(1)レキサルティ錠 インタビューフォーム

この記事を書いた人

まい

薬剤師

宮城県出身。
薬学部薬学科卒業後、医薬品卸に就職。薬局・医療機関からの様々な問い合わせに的確に回答すべく日々奮闘中です。

記事作成のサイトポリシーについてはコチラ

この投稿者の最近の記事

「まい」のすべての投稿記事を見る>>

コメント欄ご利用についてのお願い

  • 薬剤師、薬学生、調剤事務、医師、看護師といった医療に携わる方が使用できるコメント欄となります。
  • 「薬剤師の集合知」となるサイトを目指していますので、補足・不備などございましたらお気軽に記入いただけると幸いです。
  • コメントの公開は運営者の承認制となっており「他のユーザーにとって有益な情報となる」と判断した場合にのみ行われます。
  • 記事に対する質問は内容によってお答えできないケースがございます。
  • 一般消費者からの薬学、医学に関する相談や質問は受けつけておりません。

CAPTCHA


※コメントはサイト管理者の承認後に公開されます

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」のFacebookページに「いいね!」をすると、薬剤師が現場で活躍するために役立つ情報を受け取ることができます。ぜひ「いいね!」をよろしくお願いします。

お客様により安全にご利用いただけるように、SSLでの暗号化通信で秘匿性を高めています。

ページトップに戻る