片頭痛の発作時に処方されるのがトリプタン製剤です。
トリプタン製剤は5成分が上市されていますが、
「飲み方」「間隔」「1日最大量」にそれぞれ違いがあります。
トリプタン製剤についてTmaxやT1/2の比較、飲み方や作用機序について、まとめました。
一般名 | 商品名 | Tmax 半減期 |
飲み方 |
---|---|---|---|
スマトリプタンコハク酸塩 | イミグラン 錠50mg |
Tmax 1.8hr 半減期 2.2hr 50mg単回服用時 |
頭痛時1回50mg 効果不十分時は2時間以上あける 1回50mgで効果不十分の場合次回1回100mg可能 1日MAX200mg |
ゾルミトリプタン | ゾーミッグ 錠2.5mg RM錠2.5mg |
Tmax 未変化体3.0hr(2.98) 活性代謝物3.0hr(3.0) 半減期 |
頭痛時1回2.5mg 効果不十分時は2時間以上あける 1回2.5mgで効果不十分の場合1回5mg 1日MAX10mg |
エレトリプタン臭化水素酸塩 | レルパックス 錠20mg |
Tmax 1.0hr 半減期 3.2hr 20mg単回服用時 |
頭痛時1回20mg 効果不十分時は2時間以上あける 1日MAX40mg |
リザトリプタン安息香酸塩 | マクサルト 錠10mg RPD錠10mg |
Tmax 錠1.0hr PRD錠1.3hr 半減期 |
頭痛時1回10mg 効果不十分時は2時間以上あける 1日MAX20mg |
ナラトリプタン塩酸塩 | アマージ 錠2.5mg |
Tmax 2.68hr 半減期 5.05hr 2.5mg単回服用時 |
頭痛時1回2.5mg 効果不十分時は4時間以上あける 1日MAX5mg 腎障害・肝障害時はMAX2.5mg |
Tmax・T1/2は各インタビューフォーム参照
片頭痛の原因には「血管説」や「神経説」などがありますが、最も有力なのが「三叉神経血管説」です。
何らかの原因で脳の血管が拡張すると「三叉神経」が圧迫され、痛みの原因となる神経ペプチド(サブスタンスP、カルシトニン遺伝子関連ペプチド等)を放出します。
血管の拡張にはセロトニンが関与しているといわれており、何らかの原因で血漿中のセロトニンが過剰放出されると「血管が収縮」し、その後セロトニンが代謝されることで「急激に血管が拡張」し拍動性頭痛が生じることを「血管説」といわれます。
トリプタン製剤は
といったメカニズムで作用し、まさに理にかなった薬剤といえるでしょう。
もう少し詳しく、トリプタン製剤の作用機序について解説します。
トリプタン製剤は片頭痛によって過剰に拡張した「脳の血管を収縮」させ、痛みの原因となる「神経ペプチド」の放出を抑制します。
片頭痛にはセロトニンやセロトニン受容体が関与しています。
セロトニン受容体には5-HT1〜5-HT7の7種類あるのですが、脳の血管に多く存在するのが5-HT1受容体です。
5-HT1受容体の中でもトリプタン製剤が作用するのが5-HT1B受容体と5-HT1D受容体です。
トリプタン製剤作用 | 分布 メカニズム |
---|---|
5-HT1B受容体作動 | 脳内血管平滑筋 脳の血管を収縮 |
5-HT1D受容体作動 | 脳内血管周辺の三叉神経 神経ペプチドの遊離抑制 |
脳内の血管平滑筋に存在する5-HT1B受容体を作動させることで、過剰な脳の血管の拡張を収縮させ、
脳内血管周辺の三叉神経に存在する5-HT1D受容体を作動させることで、神経ペプチド(サブスタンスP、カルシトニン遺伝子関連ペプチド等)の遊離を抑え血管拡張、硬膜の炎症、中枢性疼痛の伝達を抑制します。
このような作用機序からトリプタン製剤は5-HT1B/1D受容体作動薬といわれます。
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