C型肝炎の治療はインターフェロン(IFN)が主流でしたが、直接作用型抗ウイルス薬、別名DAA(Direct Acting Antiviral)の登場よって治療方法、著効率がドラスティックに進化しました。
直接作用型抗ウイルス薬(DAA)は2015年頃から続々と上市されたこともあり、自分自身の頭の整理もかねて、インターフェロンフリーで用いられる直接作用型抗ウイルス薬(DAA)の種類、作用機序の違い、レジメンについてまとめていきたいと思います。
C型肝炎ウイルス(HCV)の蛋白にはウイルス粒子を形成する構造蛋白と、ウイルスの複製に関わる非構造蛋白が存在します。
直接作用型抗ウイルス薬(DAA)はHCVの非構造蛋白領域に作用しC型肝炎ウイルスの複製を抑えます。
DAAが作用するのはC型肝炎ウイルスの非構造蛋白領域に存在するNS3/A4プロテアーゼ、NS5A、NS5Bポリメラーゼの3つのいずれかです。
一見ややこしく感じますが、DAAは3つのうちのいずれかに作用する単剤か、2〜3種類が入った配合剤となりますので実はシンプルです。
では、それぞれのDAAが非構造蛋白領域のNS3/A4プロテアーゼ、NS5A、NS5Bポリメラーゼのどこに作用するのでしょうか。
インターフェロンフリーで用いられるDAAの有効成分、作用部位を表にまとめました。
C型肝炎ウイルス(HCV)はウイルスの遺伝子型(ジェノタイプ)により1〜6が存在します。
日本人でみられるジェノタイプは下記のとおりです。
()は日本人のC型肝炎の割合。
ジェノタイプ、C型慢性肝炎か、C型代償性肝硬変かによってレジメンが異なってきます。
代償性肝硬変とは、肝臓の機能がまだ残った状態で、進行すると肝臓が機能しなくなる非代償性肝硬変となります。
ジェノタイプ | 効能・効果のある薬剤 | |
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1 | C型慢性肝炎 | ハーボニー(1錠分1) 12W ヴィキラックス(2錠分1食後) 12W ジメンシー(4錠分2食後) 12W マヴィレット(3錠分1食後) 8〜12W ダクルインザ(1錠分1)+スンベプラ(2cap分2)24W エレルサ(1錠分1)+グラジナ(2錠分1)12W |
C型代償性肝硬変 | ハーボニー(1錠分1) 12W ヴィキラックス(2錠分1食後) 12W ジメンシー(4錠分2食後) 12W マヴィレット(3錠分1食後) 12W ダクルインザ(1錠分1)+スンベプラ(2cap分2)24W エレルサ(1錠分1)+グラジナ(2錠分1)12W |
|
2 | C型慢性肝炎 | ヴィキラックス(2錠分1食後)+リバビリン16W マヴィレット(3錠分1食後) 8〜12W ソバルディ(1錠分1)+リバビリン12W |
C型代償性肝硬変 | マヴィレット(3錠分1食後) 12W ソバルディ(1錠分1)+リバビリン12W |
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1・2以外 | C型慢性肝炎 | マヴィレット(3錠分1食後) 12W ソバルディ(1錠分1)+リバビリン24W |
C型代償性肝硬変 | マヴィレット(3錠分1食後) 12W ソバルディ(1錠分1)+リバビリン24W |
薬のしおりにて飲み忘れ時の詳細対応の記載がある配合剤は下記のとおり。
マヴィレット配合錠
服用予定から18時間以内の場合は服用
服用予定から18時間を超えた場合は1回分をとばす
ヴィキラックス配合錠
服用予定から12時間以内の場合は服用
服用予定から12時間を超えた場合は1回分をとばす
ジメンシー配合錠
次の服用まで4時間以上あいている場合は服用
次の服用まで4時間以内の場合は1回分をとばす
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