ヒドロキシクロロキン(プラケニル)作用機序・服薬指導のポイント

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

全身性エリテマトーデス(SLE Systemic lupus erythematosus)や皮膚エリテマトーデス(CLE  Cutaneous lupus erythematosus) の治療薬として処方されるのが、プラケニル錠(一般名:ヒドロキシクロロキン硫酸塩  HCQ)です。

プラケニルはSLEの皮膚症状の程度・進行の改善、全身症状や筋骨格系症状、倦怠感の改善を目的に処方されます。

SLEの症状や、プラケニルの作用機序、処方された患者さんへ服薬指導のポイントについてまとめました。

全身性エリテマトーデスの症状

  • 全身症状
    全身倦怠感、易疲労感、発熱、食欲不振
  • 関節症状
    関節炎(手や指、肘、膝など)
  • 皮膚症状
    蝶形紅斑(バタフライ・ラッシュ)、レコード版のような円板状の紅斑(ディスコイド疹)
  • その他
    口内炎、脱毛、日光過敏症、臓器障害

皮膚だけに症状がでるのが皮膚エリテマトーデス(CLE)です。

ヒドロキシクロロキン(プラケニル)の作用機序

明確な作用機序は明らかになっていませんが、リソソーム内への蓄積によって下記の効果を発揮すると考えられています。

  • 抗炎症作用
  • 免疫調節作用

代謝酵素

CYP2C8 CYP3A4

投与量は理想体重に基づく

女性の投与量

理想体重(kg)=(身長cm−100)×0.85

身長
理想体重
1回投与量
136cm以上154cm未満
31kg以上46kg未満
200mg
154cm以上173cm未満
46kg以上62kg未満
200mgと400mgを1日おき
173cm以上
62kg以上
400mg

 

男性の投与量

理想体重(kg)=(身長cm−100)×0.9

身長
理想体重
1回投与量
134cm以上151cm未満
31kg以上46kg未満
200mg
151cm以上169cm未満
46kg以上62kg未満
200mgと400mgを1日おき
169cm以上
62kg以上
400mg

 

服薬指導のポイント

眼科での定期受診を

頻度は低いが重大な副作用に眼障害あり。
少なくとも年に1回は定期的に眼科の受診を。
高リスクの場合(累計投与量200g以上、肝障害・腎障害のある方、視力障害がある方など)は年に1回以上眼科の受診を。

下記のような症状があれば主治医に報告を。

眼障害(網膜症、黄斑症、黄斑変性)

  • 視力が下がる(視力低下・霧視)
  • 近くのものにピントが合いにくい(調節障害)
  • 色がわかりにくくなる(色覚障害)
  • 暗くなると見えにくくなる(夜盲)
  • 視野が狭くなる(視野狭窄)
  • 視野の中に見えない部分がある(暗点)
  • 光りが見える(光視症)
  • ものがゆがんで見える(変視症)

服用開始1ヶ月以内は特に皮膚症状に注意

服用開始後1ヶ月以内は皮膚症状の副作用に注意。
いつもと違う皮膚症状があれば受診を。

低血糖が起こる可能性がある

低血糖が起こる可能性があるので、生あくび、吐き気、冷や汗・動悸などの低血糖時は糖分を摂取するよう伝えておく。

主な副作用は下痢と頭痛

主な副作用は下痢(9.9%)、頭痛(3.0%) 
(承認時101例中)

紫外線を避ける

紫外線がSLEを悪化させる可能性があるので、紫外線は極力避ける。
日傘、帽子、日焼け止めの使用を。

乳幼児の手の届かない場所で保管を

乳幼児では特に毒性の感受性が高いため乳幼児の手の届かない場所で管理を。

飲み忘れ時の対応を伝えておく

通常は気づいた時に服用。
ただし、次回服用が近い場合は飛ばして次回のスケジュール通りに服用を。
2回分をまとめて服用しない。

1錠2錠を交互に服用で飲み忘れた場合は、
次に服用するのは飲み忘れた分から。

参考
プラケニル錠 インタビューフォーム
プラケニル錠を服用される患者さんへ サノフィ株式会社

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伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2006年 京都薬科大学 薬学部卒。

調剤併設ドラッグストアのスギ薬局に新卒で入社。
調剤部門エリアマネージャーを経験後、名古屋商科大学院経営管理学修士課程にて2年間経営学を学び、経営管理学修士号(MBA)を取得。
2013年4月、シナジーファルマ株式会社を設立。
2013年8月、薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」をリリース。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」は臨床で役立つ学術情報や求人広告を発信し月間24万PV(2023年6月時点)のアクセスが集まるメディアとして運営中。

2021年より福岡県北九州市にてティーダ薬局を運営(管理薬剤師)。

1983年11月 岡山県倉敷市で生まれ、水の都である愛媛県西条市で育つ。
大学より京都・大阪で14年間、沖縄Iターン特集立ち上げのため沖縄県で4年間暮らし、現在は福岡県民。
二児の父親。

当面の目標は、
「息子達の成長スピードに負けないこと」

座右の銘は、
「まくとぅそうけい なんくるないさ」
=「誠実に心をこめて精進していれば、なんとかなる!!」

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