点耳薬のステロイド・抗菌薬が同時に処方された場合の間隔や順番は?

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

点耳薬ついて新人薬剤師さんからこのような相談がありました。


新人薬剤師

耳鼻科からの処方箋で、ステロイド抗菌薬の点耳薬が併用されている場合、間隔をあけなければいけませんか?また順番は決まっていますか?

 

さてあなたが先輩薬剤師の立場ならどのように指導しますでしょうか?

点耳薬の併用時は間隔をあけず同時に点耳がスタンダード


先輩薬剤師

点耳薬が2種類同時に処方されていて医師の指示が特別にない場合、間隔はあけずに同時に点耳するのが通常の指導方法だよ。

 


新人薬剤師

点眼液の場合みたいに、5分以上の間隔はあけなくてもいいのですね!!

 


先輩薬剤師

目薬の場合、同時に点眼すると目から薬が溢れ出てしまうからね。
耳の場合は、耳薬程度の量であれば耳から薬が溢れることはないことや、ステロイドと抗菌薬の配合変化もないから、同時に点耳するのが一般的なんだ。
別々に点耳して、毎回しばらく横になるのは非効率だからね。

 

抗菌薬とステロイドの点耳薬が併用されるケース

では、ステロイドと抗菌薬の点耳薬の具体的な処方例をみていきます。

【処方例】

Rp1 
【一般名】オフロキサシン耳科用液0.3% 5ml
1日2回 1回6滴 点耳

Rp2 
【一般名】デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム点眼・点耳・点鼻液0.1% 5ml
1日2回 1回2滴 点耳

 

Rp1はタリビッド耳科用液
Rp2はオルガドロン点眼・点耳・点鼻液。

もしくは、
Rp2のステロイドがベタメタゾンリン酸エステルナトリウム点眼・点耳・点鼻液リンデロンサンベタゾンリノロサールなど)のケースもあります。

点耳薬服薬指導のポイント

  • 点耳前に容器を手で人肌まで温める(冷たいとめまいを起こすため
  • 点耳する側を上にして、横向きに寝る
  • 耳たぶを後ろにひっぱりながら点耳
  • 併用時は同時に点耳(医師から別に指示がある場合はそちらに従う)
  • 点耳後、耳たぶを上にひっぱりゆすると薬が浸透しやすくなる(中耳炎の場合)
  • 耳浴の指示があったかの確認
  • 耳浴の指示がない場合、通常は約2〜3分程度、耳浴の指示がある場合は10分程度横になる

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2006年 京都薬科大学 薬学部卒。

調剤併設ドラッグストアのスギ薬局に新卒で入社。
調剤部門エリアマネージャーを経験後、名古屋商科大学院経営管理学修士課程にて2年間経営学を学び、経営管理学修士号(MBA)を取得。
2013年4月、シナジーファルマ株式会社を設立。
2013年8月、薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」をリリース。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」は臨床で役立つ学術情報や求人広告を発信し月間24万PV(2023年6月時点)のアクセスが集まるメディアとして運営中。

2021年より福岡県北九州市にてティーダ薬局を運営(管理薬剤師)。

1983年11月 岡山県倉敷市で生まれ、水の都である愛媛県西条市で育つ。
大学より京都・大阪で14年間、沖縄Iターン特集立ち上げのため沖縄県で4年間暮らし、現在は福岡県民。
二児の父親。

当面の目標は、
「息子達の成長スピードに負けないこと」

座右の銘は、
「まくとぅそうけい なんくるないさ」
=「誠実に心をこめて精進していれば、なんとかなる!!」

記事作成のサイトポリシーについてはコチラ

この投稿者の最近の記事

「伊川勇樹」のすべての投稿記事を見る>>

コメント欄ご利用についてのお願い

  • 薬剤師、薬学生、調剤事務、医師、看護師といった医療に携わる方が使用できるコメント欄となります。
  • 「薬剤師の集合知」となるサイトを目指していますので、補足・不備などございましたらお気軽に記入いただけると幸いです。
  • コメントの公開は運営者の承認制となっており「他のユーザーにとって有益な情報となる」と判断した場合にのみ行われます。
  • 記事に対する質問は内容によってお答えできないケースがございます。
  • 一般消費者からの薬学、医学に関する相談や質問は受けつけておりません。

CAPTCHA


※コメントはサイト管理者の承認後に公開されます

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」のFacebookページに「いいね!」をすると、薬剤師が現場で活躍するために役立つ情報を受け取ることができます。ぜひ「いいね!」をよろしくお願いします。

お客様により安全にご利用いただけるように、SSLでの暗号化通信で秘匿性を高めています。

ページトップに戻る