SGLT2阻害薬の作用機序は?近位尿細管でのSGLT1との関係

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伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

糖尿病は糖が尿中に出る病気でありますが、「尿中に糖が出る事が悪い」という常識を逆転させて開発されたのがSGLT2阻害剤です。

SGLTやSGLT1とSGLT2の違いについてはこちらにまとめています。

SGLT1、SGLT2、SGLT3サブタイプの違い、存在部位は? 

SGLT2阻害薬がどのような作用機序で血糖値を下げるのか?

メカニズムについて説明したいと思います。

健康な方の腎臓(近位尿細管)とSGLT2の働き

まず、正常な方における、腎臓の近位尿細管を見てみましょう。

【SGLT2阻害】健康な方の近位尿細管


原尿中のグルコースの90%は、腎臓の近位尿細管のSGLT2にて血中に再吸収され、残りの10%が腎臓の近位尿細管のSGLT1にて血中に再吸収されます

健康な方は、SGLT1とSGLT2によってグルコースが血中に再吸収され尿中にほとんどグルコースが排出されません。

糖尿病患者での腎臓・近位尿細管とSGLT2の働き

一方糖尿病患者では、近位尿細管でのグルコースの再吸収がキャパシティーオーバーしてしまうため、血中に再吸収しきれないグルコースが尿中に排出されてしまいます。

また、SGLTにて血中に再吸収された大量のグルコースによって血中の糖分が上昇するのです。

【SGLT2阻害】糖尿病の近位尿細管

 

SGLT2阻害薬の作用機序・メカニズム(スーグラ・フォシーガなど)

では、SGLT2阻害剤はどのように作用するのか?

作用機序(メカニズム)を見て行きたいと思います。

SGLT2阻害【スーグラ・フォシーガ】

糖尿病患者においてSGLT2が高く出現していると言われています。SGLT2を阻害する事で、尿中に糖を出し、血中へのグルコースの再吸収を減らす事で血糖値が下がるのです。

尿中へのグルコースの排泄が多くなるため、尿路感染症などには注意が必要になりそうです。

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伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2006年 京都薬科大学 薬学部卒。

調剤併設ドラッグストアのスギ薬局に新卒で入社。
調剤部門エリアマネージャーを経験後、名古屋商科大学院経営管理学修士課程にて2年間経営学を学び、経営管理学修士号(MBA)を取得。
2013年4月、シナジーファルマ株式会社を設立。
2013年8月、薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」をリリース。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」は臨床で役立つ学術情報や求人広告を発信し月間24万PV(2023年6月時点)のアクセスが集まるメディアとして運営中。

2021年より福岡県北九州市にてティーダ薬局を運営(管理薬剤師)。

1983年11月 岡山県倉敷市で生まれ、水の都である愛媛県西条市で育つ。
大学より京都・大阪で14年間、沖縄Iターン特集立ち上げのため沖縄県で4年間暮らし、現在は福岡県民。
二児の父親。

当面の目標は、
「息子達の成長スピードに負けないこと」

座右の銘は、
「まくとぅそうけい なんくるないさ」
=「誠実に心をこめて精進していれば、なんとかなる!!」

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