薬剤師の副業(複業)のススメ

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

副業のススメ

「土曜日がどうしても薬剤師が不足していてスポットで入れないか?」
「夜間の薬剤師が足らないので助けてくれない?」

中小薬局の経営者の方からこのような相談を受けることが多くあります。

正社員を雇って給料や社会保険代などは出せないけど、パートタイムならとても助かるという中小企業は案外多いのです。

弊社のようなベンチャー企業でも同様に正社員の雇用は難しいですが、志と行動力のある方なら薬剤師との兼業で是非ジョインしてほしいと思います。

このように中小企業や駆け出したばかりのベンチャー企業にとっては、他社で正社員として働く優秀な方がアルバイトで手伝ってくれることはとてもありがたいことなのです。

副業を認めている上場企業

ご存知の方も多いかと思いますがロート製薬が副業を解禁したことで話題となりました。

また僕が仕事で重宝するIT企業のサイボウズも副業を解禁しており、なんとサイボウズ社の名前を出さない場合は上司の許可は必要ないそうです。

ロート製薬もサイボウズも株式を上場しているにも関わらず「副業解禁」を全面的に打ち出しているのは経営陣の器の大きさの現れのように感じています。

皆さんの薬局や病院ではいかがでしょう?

おそらく多くの職場が副業を禁止しているのではないでしょうか。

ではなぜ多くの薬局や病院が副業を禁止しているのか経営者側の視点で考えてみたいと思います。

薬剤師の副業を禁止する理由

副業を禁止する理由として

出店や人事情報など社外秘の情報が漏れてしまうのを防ぐため
急な病欠などにフレキシブルに対応してもらうため
引き抜きを防止するため
本業に集中できなくなる恐れがあるため
管理薬剤師の登録ができなくなるため

といったところでしょう。

薬局や病院に関しては、自動車やコンピューターなどのモノづくり企業のように機密情報があるわけでもなく、保険制度内で事業を運営する限りでは社外秘という大げさな情報は出店情報くらいでしょう。しかし出店情報は工事に取り掛かったり、申請をすればすぐにオープンになります。

緊急時の対応や、引き抜きの恐れは確かに経営者なら不安に感じるかもしれません。

しかし、あくまで僕の持論ですが終身雇用と毎年の昇給を保証できないのであれば副業は認めるべきだと考えています。

薬剤師が副業(複業)するメリット

では今度は薬剤師の目線で副業を行うメリットを考えてみたいと思います。

「副業」というと隠れてコソコソと悪いことをするようなイメージがありますので僕は副業でなく「複業」という言葉を使わせてもらいます。

複業のメリット
薬剤師としてのスキルが磨かれる
人間としての幅が増える
視野が広くなる
人脈が増える
収入・報酬が増える
一つの箇所に縛られないため活き活きとする

休みや就業後に仕事をすることで体力が消耗されるかもしれません。しかし僕の周りを見る限り、一つの場所だけに閉じこもらずに複業など課外活動を行っている薬剤師さんは皆活き活きとされています。

一つの薬局だと、どうしても処方内容に偏りがありますので、他の薬局で時々アルバイトをするのであれば転職をせずに経験値も積めるため薬剤師も経営者もアルバイト先の薬局までもハッピーになる、まさにWIN-WIN-WINの関係になれると思います。

会社が副業を禁止しているために、会社には内緒で休日診療所や土日にヘルプで薬剤師として勤務する方も多くいます。これらは決して悪いことではなく、地域のために貢献される素晴らしいことだと思います。

それに、実は副業の禁止は法律上では認められていないんですよね。

雇用契約の本質は、「社員は契約で定められた時間、会社に対して労働力を提供し、会社はその対価を金銭で支払う」というものであるから、就業規則等を通じて社員に対して会社の拘束が及ぶのは、あくまでも労働時間の範囲内においてである。

引用元:ロート製薬の「副業解禁」が示す本当の意味

保険制度内で薬局運営をする限り、今後売上(調剤報酬)が減ることはあっても増えることはないため昇給を保証することは難しいでしょう。調剤薬局から調剤薬局に転職をする場合、多くの方が給与のアップを求めています。

自社のスタッフを抱え込むために「副業を禁止」している薬局や病院が多いですが、副業が禁止が故に転職をする薬剤師さんもいます。

つまり自社のスタッフを抱え込むたの制度である「副業の禁止」が逆効果になってしまっているのです。

離職を防ぐためにも「副業の禁止を禁止」してみてはいかがでしょうか?

「複業のススメ」を打ち出すことで社員の定着率がアップするだけでなく、リクルーティングにもプラス働くと考えています。

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2006年 京都薬科大学 薬学部卒。

調剤併設ドラッグストアのスギ薬局に新卒で入社。
調剤部門エリアマネージャーを経験後、名古屋商科大学院経営管理学修士課程にて2年間経営学を学び、経営管理学修士号(MBA)を取得。
2013年4月、シナジーファルマ株式会社を設立。
2013年8月、薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」をリリース。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」は臨床で役立つ学術情報や求人広告を発信し月間24万PV(2023年6月時点)のアクセスが集まるメディアとして運営中。

2021年より福岡県北九州市にてティーダ薬局を運営(管理薬剤師)。

1983年11月 岡山県倉敷市で生まれ、水の都である愛媛県西条市で育つ。
大学より京都・大阪で14年間、沖縄Iターン特集立ち上げのため沖縄県で4年間暮らし、現在は福岡県民。
二児の父親。

当面の目標は、
「息子達の成長スピードに負けないこと」

座右の銘は、
「まくとぅそうけい なんくるないさ」
=「誠実に心をこめて精進していれば、なんとかなる!!」

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