2016年度(平成28年度)調剤報酬改定の展望

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伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」運営会社の伊川です。

10月30日に財務省で財政制度等審議会が行われ、2016年度の診療報酬改定についての基本方針が示されました。

発表された資料をもとに調剤報酬についての要点についてまとめてみました。

基準調剤加算

集中率要件の大幅な引下げ
現在の算定要件である

基準Ⅰ 処方箋受付回数が月4,000回超の薬局は、集中率70%以下
基準Ⅱ 処方箋受付回数が月600回超の薬局は、集中率70%以下

について大幅な集中率の引き下げが予想されます。

備蓄数の引き上げ

現在の算定要件である

基準Ⅰ 700品目以上
基準Ⅱ 1000品目以上

から備蓄数の引き上げが予想されます。

24時間体制を実績化

現在の24時間体制については、

基準Ⅰ 自薬局を含む近隣薬局と連携して、24時間調剤及び在宅業務に対応できる体制が整備(連携する薬局数は、自薬局を含めて10未満)
基準Ⅱ 自薬局のみで24時間調剤及び在宅業務に対応できる体制が整備

であるが、連絡先電話番号等の交付といった形式的要件でなく、実績を要件と見直される可能性が高いと考えられます。

調剤基本料

現在の特例である

・処方せんの受付回数が1月に4,000 回を超える保険薬局(特定の保険医療機関に係る処方せんによる調剤の割合が 70%を超えるものに限る。
・処方せんの受付回数が1月に2500回を超える保険薬局(特定の保険医療機関に係る処方せんによる調剤の割合が90%を超えるものに限る。)

について対象の拡大や、点数そのものが引き下げられる可能性があります。

財務省の案は、対象を1200回70%、2500回50%とし、1日40枚あたり薬剤師1名ルールの緩和・撤廃を検討としています。

後発医薬品調剤体制加算

現在の基準の引き上げだけでなく、低い薬局は減額になる可能性があります。

現在
55%以上 18点
65%以上 22点

財務省案
60%未満 ▲10点
60%以上 8点
70%以上 12点

調剤料

投与日数や剤数に関わらず定額化へ
⇒平成28年の改定では全体の水準を1/2程度に引き下げつつ、段階的に定額化を進めるべき。とまとめられています。

一包化加算の大幅減額
⇒自動分包機などの普及により、必ずしも業務コストに比例しないため一包化加算にもメスが入ることが予想されます。

まとめ

今回の要点は財務省サイドの基本方針ですが、厚生労働省サイドも「門前薬局」については報酬引き下げに財務省と足並みをそろえると言われています。

毎回調剤報酬改定の時期が近づくと、今回は「厳しい」「下がる」と言われていましたが、これから段階的に「調剤料」の部分で大幅な減額が想定されるでしょう。

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伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2006年 京都薬科大学 薬学部卒。

調剤併設ドラッグストアのスギ薬局に新卒で入社。
調剤部門エリアマネージャーを経験後、名古屋商科大学院経営管理学修士課程にて2年間経営学を学び、経営管理学修士号(MBA)を取得。
2013年4月、シナジーファルマ株式会社を設立。
2013年8月、薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」をリリース。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」は臨床で役立つ学術情報や求人広告を発信し月間24万PV(2023年6月時点)のアクセスが集まるメディアとして運営中。

2021年より福岡県北九州市にてティーダ薬局を運営(管理薬剤師)。

1983年11月 岡山県倉敷市で生まれ、水の都である愛媛県西条市で育つ。
大学より京都・大阪で14年間、沖縄Iターン特集立ち上げのため沖縄県で4年間暮らし、現在は福岡県民。
二児の父親。

当面の目標は、
「息子達の成長スピードに負けないこと」

座右の銘は、
「まくとぅそうけい なんくるないさ」
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