リフィル処方せんとは?導入されるとどうなるの?

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」編集長の伊川勇樹です。

2015年7月16日のリスファックスで何かと話題になっていた「リフィル処方箋導入が決定的!!」という記事。

導入の可否は定かではありませんが、今後導入される可能性もあり、個人的にいま最も興味がある制度ということで「リフィル処方せん」についてまとめてみました。

リフィル処方せんとは??

リフィルの意味

リフィル=refill

補給、詰め替えの意味。

飲物でいえば、おかわり、2杯目といった意味もあります。

リフィル処方箋は、一定の期間内であれば処方箋一枚で繰り返し処方薬を受け取れる制度です。

コンタクトを使用する方ならイメージがわくと思いますが、一度受診すれば数か月間、受診することなくコンタクトを受け取ることができますよね?

そんな感覚で、処方薬を受け取ることができる制度です。

リフィル処方せんは具体的にどんな制度?

例えば、慢性疾患の治療薬で30日分処方、3回までリフィル可能となった場合、1回の受診で最大3回まで処方薬を受け取ることができます。

患者さんは30日ごとに薬局に処方せんを持っていき、薬剤師が薬物療法の経過をチェックし、副作用、相互作用、重複投与などを確認し、問題なければ、また30日分の処方薬を投与することが可能となります。3回目も同様です。

リフィル処方せんの狙いは?

政府の一番の狙いは無駄な受診を抑え、医療費の削減に繋げることでしょう。
あとは、無駄な受診を抑えることで、医師は本当に治療が必要な患者さんに集中することが可能となります。

海外でのリフィル処方せん状況

アメリカでは全州で導入、またカナダ、フランス、イギリスでも導入されているようです。

リフィル処方せんが導入されればどうなるの?

まず、患者さんの流れがドラスティックに変わります。
今まで大型の門前薬局でもらっていた患者さんが、街の薬局、自宅近くの薬局、職場の近くの薬局で薬を受け取るようになります。

大型病院に依存した門前薬局は調剤報酬が下がるうえに、患者さんの数も減り、現在の門前薬局がひしめく姿は終焉をむかえるでしょう。

また地域の薬局の薬剤師も、薬物療法の経過をチェックし、副作用、相互作用、重複投与などを確認し、必要に応じて受診勧告をしなければなりません。
今まで以上にアカデミックな知識、臨床経験、意思決定力、対人能力が求められると思います。

アメリカの薬局薬剤師に追いつけ追い越せ

アメリカの薬剤師・薬局を目指せ、追いつけ追い越せ

私が薬学生の頃や薬剤師になった頃からそんな教育を受けてきただけに、アメリカで主流であるリフィル処方せんの在り方にはとても関心を持っていました。
保険制度の違い、圧倒的な権力を持つ医師会の反発など、日本では導入が難しいのではと思っていましたが、少しずつ現実味を帯びてきています。

薬剤師の能力が普及のカギ

制度が導入されたとしても、臨床経験や意思決定力、対人能力が備わった薬剤師がいない限り機能しない制度だと思っています。

いかにリフィル処方せんに対応できる能力を持った薬剤師を育てることができるか?」がリフィル処方箋導入への大きな課題となりそうです。

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2006年 京都薬科大学 薬学部卒。

調剤併設ドラッグストアのスギ薬局に新卒で入社。
調剤部門エリアマネージャーを経験後、名古屋商科大学院経営管理学修士課程にて2年間経営学を学び、経営管理学修士号(MBA)を取得。
2013年4月、シナジーファルマ株式会社を設立。
2013年8月、薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」をリリース。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」は臨床で役立つ学術情報や求人広告を発信し月間24万PV(2023年6月時点)のアクセスが集まるメディアとして運営中。

2021年より福岡県北九州市にてティーダ薬局を運営(管理薬剤師)。

1983年11月 岡山県倉敷市で生まれ、水の都である愛媛県西条市で育つ。
大学より京都・大阪で14年間、沖縄Iターン特集立ち上げのため沖縄県で4年間暮らし、現在は福岡県民。
二児の父親。

当面の目標は、
「息子達の成長スピードに負けないこと」

座右の銘は、
「まくとぅそうけい なんくるないさ」
=「誠実に心をこめて精進していれば、なんとかなる!!」

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