薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」編集長の伊川勇樹です。
4月13日のニュースで報道されSNSなどで、何かと話題になっていた、ドラッグ大手ツルハ(札幌)のレディ薬局(愛媛)に対するTOB。
そもそもTOBって何なの?
今回TOBという言葉を初めて聞いた薬局関係者の方も多かったのではないでしょうか。 TOBとは、take over bid の略語で日本語では「株式公開買付け」と呼ばれています。
TOB(株式公開買付け)とは株式を取得するために、株を買付けすることを公言し株主から株を取得することなのですが、TOBは大きく2つに分けられると言われています。
①会社を乗っ取る目的の敵対的TOB(対象会社がTOBを望んでいない場合)
②子会社化や合併などの友好的TOB(対象会社がTOBを望んでいる場合)
今回のレディ薬局のケースは後者に該当すると考えられます。
レディ薬局の4月14日の朝の株価が576円。TOBにより第1弾として創業者などから1株800円、第2弾として一般株主などから1株1000円で買い付けすると発表したことから、4月14日の終値はストップ高の676円まで上昇しています。
3か月後に2倍近くに価値が上がる株なら誰でも買いたいですよね?
なぜツルハ(札幌)がレディ薬局(愛媛)をTOBするのか?
ツルハといえば札幌発のドラッグストア。2013年度の売上は3884億円と、マツモトキヨシの4953億円に次ぐ第2位のドラッグストアです。
昨年ウエルシアHDがCFS(神奈川)、タキヤ(兵庫)、シミズ薬品(京都)を経営統合すると発表し、4社を統合すると5000億円超になることからドラッグストア業界での寡占化、競争が激しさを増しています。
ツルハは札幌発のドラッグストアとして、2013年5月時点で北海道328店舗、東北350店舗、関東・甲信326店舗、中部・関西18店舗、中国・四国52店舗となっており、四国、中国を中心に200店舗以上を展開をするレディ薬局を買収することによって中国・四国の基盤を強化を図ることが狙いとされてます。
調剤薬局業界も対岸の火事でない
ツルハもウエルシアHDもイオン系列であることから、今後シニア市場に対するイオンの動きには個人的に注目しています。
最近とある広域病院が院外処方に切り替えたのですが、大手調剤チェーンは数年前から門前の土地を抑えていたにも関わらず、蓋をあけたら門前薬局へ流れる患者さんは50%にも満たなかったそうです。
つまり今までのように大部分の患者さんが門前薬局に流れる時代は終焉を迎えています。リフィル処方箋が導入されるとますます地域に対応した薬局間での競争が激しくなっていきます。地域の薬局もイオンなどの超大企業と同じ土俵で戦っていかなければなりません。
調剤薬局業界も決して対岸の火事としてぼんやり眺めるのではなく、危機感を持ちながら自分たちにしか出せない優位性を模索していく必要があるのではないでしょうか。
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