「U・Hクリーム」といえば薬学生が薬局実習で薬局製剤体験をする時は必ず製造する品目ではないでしょうか。
また薬剤師会主催の研修会でも、選ばれる品目のひとつです。
その理由は、原料が2つと少ないこと、製造工程が簡単なわりに、調剤とは異なる作業なので製造している実感を得やすいからだと思います。
U・Hクリームについて特徴や作り方、原料価格、販売方法について解説したいと思います。
U・Hクリームは、皮膚の水分保有力を増す働きのある尿素(Urea)を、親水クリーム(Hydrophilic Cream)に練合した皮膚の角化症に用いる外皮用薬です。
親水クリームを基剤としているのでやわらかくのびが良い、使用感さわやかなクリームです。
寒い季節に肌が乾燥してかゆくなる方、かかとがひび割れする方に重宝されています。
OTCのクリームは香料を加えたり、カンフルやメントールで清涼感を出しているものが多いのですが、においのないものを求めるお客様もいらっしゃいますので、無添加というのも特徴になります。
使用上の注意は、他の尿素クリームと同様に、潰瘍、びらん、傷面、粘膜、目の周りに使用しないこと等です。
全量 100g
上記をとり、クリーム剤の製法により製する。
少量の親水クリームを加温溶融したものに尿素を溶解し、残余の親水クリームによく練合して全質均等として製する。
1日数回、患部に塗擦する。
手指のあれ、ひじ・ひざ・かかと・くるぶしの角化症、小児乾燥性の皮膚、老人の乾皮症、さめ肌
遮光した気密容器
※薬局製剤業務指針解説と製造方法が異なっていますが、薬局製剤・漢方委員会で行っている作り方を解説いたしました。
販売価格は薬局ごとに自由に決めることができます。
原材料費を考慮して設定しましょう。
自家製品ということで安価で提供するやり方もあれば、逆にPB商品の価値として高めに設定にするやり方もあります。
個々の薬局の考え方次第です。
尿素 税抜1030円(500g)
親水クリーム 税抜1040円(500g)
で仕入れた場合
原料名 | 値段 |
尿素10g | 20.6円 |
親水クリーム90g | 187.2円 |
軟膏容器100gまたは120g | 59~81円 |
薬袋、添付文書、シール等 | 20~30円 |
合計 | 286.8~318.8円 |
参考までに、私がネット検索で確認できた範囲では、下記の通りです。
ちなみに、尿素配合の薬局製剤には下記の製剤もあり、それらを製造販売している薬局もあります。
U・Hクリームを薬局で販売するときのPRポイントです。
尿素入りの処方薬、市販薬について参考にピックアップします。
U・Hクリームの薬局製剤は10%製剤のみですが、類似薬では10%の規格がないものは20%を掲載いたします。
薬価は2018年時点
など、様々な製品が一般販売されています。
薬局製剤をはじめるなら、まずは「U・Hクリーム」というくらい全国的に製造されています。
「OTCにも処方薬にもあるのに製造する意味あるのかな?」 そんな風に私は、はじめは思いながらも、「とりあえずU・Hクリーム」という感覚で申請しました。
でも今は愛着をもって製造しています。
ありふれた薬ですが、ミニマムな原料で作られる薬とその価値は、私たち薬剤師が作り続け、守っていかないとなくなってしまうのではないでしょうか。
参考資料
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