薬局製造販売医薬品(薬局製剤)のはじめかた

この記事を書いた人

うき

薬剤師

5 薬局製剤の4つの個性

薬局製剤は下記の4つの特徴があります。

  1. 有効性
    学術的エビデンスのある古典的な成分ですが、日薬と薬局製剤漢方委員会で組み立てた処方であり、メーカーにとって羨望の処方です。
  2. 安全性
    十分な情報がそろっていて安全性が高い医薬品ですが、PL法責任は発生します。 第一類医薬品と同等の情報提供が必要です。
  3. 安定性
    使用期限内の安定性は調剤用医薬品と同等。ただ、外用薬や漢方薬は、原材料や製造テクニックにより違いが出ることがあります。
  4. 使用性
    使い勝手を高めることができます。小包装を作ったり、客層に応じた品目の選定をする等の自由自在の対応ができます。価格も薬局で設定します。

※参考元 JPALS eラーニング 「薬局製剤」講師:清水良夫先生(平安堂薬局)

6 薬局製剤を学ぶ方法

薬局製剤を学ぶ方法について知識と製造技術の面からご紹介します。

薬局製剤の知識を学ぶ方法

  • JPALS(日本薬剤師会 生涯学習支援システム)
    e-ラーニング受講

    カテゴリ(薬局製剤)

    コース名「薬局製剤(基礎編)薬局製剤とは?~法律的観点から~」
    で1講座あります。
    わかりやすく解説されていて、これから始める人におすすめです。
  • 薬局製剤業務指針第6版の第二部解説編を読むこと
    すべて書いてあります。
  • 日本薬剤師会雑誌バックナンバー。「作ってみよう薬局製剤」シリーズ 平成12~16年の記事
    私はそのバックナンバーはすでに処分してしまっておりましたので、県薬剤師会へ行きコピーを取らせていただきました。 (薬事日報社の「作ってみよう薬局製剤」は現在絶版になっているようです。)

薬局製剤の製造技術を学ぶ方法

  • 薬剤師会主催の薬局製剤に関する研修会に参加する
    日本薬剤師会 薬局製剤漢方委員会の薬剤師さんが講師で、講義と実演、製造実習を行います。 私は許可後でしたが、参加しました。細かい疑問点を解決できましたし、自分の手技に対する不安も解消しました。とても勉強になりました。
  • 薬局製剤を扱う薬局が近くにあれば見学
    残念ながら私にはそのチャンスがありませんでした。
  • YouTubeで「薬局製剤」で検索
    薬局製剤を作っている動画がいくつもあります。 それを見るだけでも参考になります。

7 新たに始めるときの申請・届出について

新たに薬局製剤をはじめるときの申請の手順や書類について説明します。

手順

申請先:薬局所在地を管轄する保健所(または保健センター)
事前相談は保健所へTEL

申請書類の作成
必要な器具等の購入

申請書類の提出(保健所)
許可が下りるまで、約2〜3週間

施設検査
保健所の薬事監視員が来局し、設備・器具のチェック

許可証の交付

なんのための許可?どんな書類?
① 製造販売業の許可
薬局を製造販売業者として許可してもらうもの。
薬局ごとに必要。チェーン店であっても店舗ごとに。
薬局製剤製造販売業許可申請書 +添付書類(各種)

② 製造業の許可
調剤室を製造所として許可してもらうもの。これも薬局ごとに。
薬局製剤製造業許可申請書+添付書類(各種)

③ 製造販売承認
製造した物を医薬品として認めてもらうもの。
薬局製剤製造販売承認申請書+添付書類(品目表)

薬局製剤の420品目(平成29年9月時点)の中から製造販売しようと思うものを選択し申請します。品目を決めて申請しますが、あとから追加で申請も出来ました。
都道府県によって全品目一括申請という所もあるようです。事前相談の際に確認しましょう。

④ 製造販売届出
承認が不要品目の9品目が対象(3 どんな薬がどのくらいあるの?参照)。
申請ではなく届出により販売可能。
薬局製剤製造販売届書+添付書類(品目表)

都道府県の健康福祉課のホームページに詳細が載っていますが、地域ごとに内容の濃さが違います。
他県のサイトであっても分かりやすいサイトをいくつか読むとよいでしょう。
ただし申請は、自薬局所在地を管轄する保健所の手続きに従って行います。

「薬局製剤 手続き」 「薬局製剤 申請」などで検索するといいでしょう。

8 はじめるために費用はどのくらいかかる?

  • 製造販売業許可申請手数料 
    6300~7800円くらい+添付書類に伴う診断書等の料金 
  • 製造業許可申請手数料 
    11000~14300円くらい
  • 製造販売承認申請手数料 
    1品目につき90~140円 ×申請する品目数
  • 薬局開設時に揃えた設備・器具に追加する薬局製剤用の設備・器具(次項で解説)

手数料は都道府県ごとに異なります。

この記事を書いた人

うき

薬剤師

東京薬科大学 薬学部卒

大学卒業後、製薬メーカー学術、中規模調剤薬局チェーンを経て、1999年地元で面分業の調剤薬局を開局。
2017年調剤業務を終了させ相談薬局として再スタート。
漢方薬、サプリメント、薬局製剤がメイン。まだまだ勉強の毎日です。

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