保険薬局でも応用できるPK-PD理論(濃度依存性・時間依存性抗菌薬)

この記事を書いた人

川田浩平(かわだこうへい)

ファーマシスタ関西代表
セルクルファルマ株式会社 代表取締役
シナジーファルマ株式会社 取締役
認定実務実習指導薬剤師 
日本薬剤師研修センター認定薬剤師

PK-PD理論に基づいた抗菌薬の投与設計が病院など多くの医療機関で導入されています。

薬物動態(Pharmacokinetics)薬力学(Pharmacodynamics)の双方の関係を考慮することがPK-PD理論の概念とされています。

薬剤師の為のPKPD

PK-PD理論に基づいた抗菌薬の投与設計において、以下の3つのパラメーターが重要となります。

Cmax / MIC
AUC / MIC
Time above MIC

薬剤師の為のPKPD②

この3つのうち、どのパラメーターが重要となるかは抗菌薬の種類によって異なります。

抗菌薬には大きく分けて「濃度依存性」「時間依存性」に分類されます。

例に挙げると「濃度依存性」のキノロン系抗菌薬のレボフロキサシン(商品名:クラビット錠500mg)です。

以前は1回100mgを1日3回服用する薬剤でありましたが、現在ではPK-PD理論の概念が考慮され、1回500mgを1日1回服用することで効果を最大限に引き出し、さらに耐性菌の出現も抑えることが可能となりました。

では保険薬局でPK-PD理論は応用できないだろうか??

病院の薬局ではPK-PD理論に基づき、抗菌薬の投与設計やTDM(治療薬物モニタリング)が行われます。保険薬局では処方量や服用回数が決められた処方せんを応需するため、当然のことながら薬剤師が投与設計に関わることはできません。

ある日、以下に記載の処方せんを薬局へ持ってこられた母親がこのように言いました。

Rp.
セフジニル細粒10%  1.5g 1日3回毎食後   4日分 

「子供が幼稚園に通っていて、昼食後にお薬を服用させることができないので、1日3回の薬を1日2回に変更してほしいのですが・・・」

ここで医師に問い合わせをし、服用回数2回に変更してもらっても良いのでしょうか??

PK-PD理論では、セフジニルはセフェム系抗生物質でTime above MICと相関し、分割投与が重要なキーポイントとなります。

服用回数は変更せず、1日3回服用(朝食後、帰宅後、就寝前)で母親に提案してあげるのはいかがでしょうか??

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川田浩平(かわだこうへい)

ファーマシスタ関西代表
セルクルファルマ株式会社 代表取締役
シナジーファルマ株式会社 取締役
認定実務実習指導薬剤師 
日本薬剤師研修センター認定薬剤師

京都薬科大学を卒業後、病院、調剤薬局で培った幅広い経験を活かし、2017年8月に大阪にて薬局を開業。大阪の地域医療活性化のために日々奮闘中!!

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