片頭痛に使用されるトリプタン系の薬剤の選択はどのようにされるのでしょうか?
女性の月経前後におきる片頭痛(月経時片頭痛)には、アマージ(一般名:ナラトリプタン)が処方される傾向があります。
それには理由があります。
頭痛の種類、女性ホルモンと片頭痛の関係、月経時片頭痛にアマージが選択される理由についてまとめました。
特に女性の月経時片頭痛でのアマージの処方は、薬剤師も知っておかないと間違った服薬指導となる可能性もありますので、参考になれば幸いです。
頭痛には主に以下の3種類があります。
長時間に及ぶデスクワークなどによる頭部の緊張や精神的なストレスで起こる頭痛。
肩や首の凝りから起こる場合もあり。
全世代に見られるが比較的中高年に多い。
頭の片方、または両方に、ズキンズキンとする痛みが起こる。
吐き気やまぶしさ、音に敏感になるなどの症状を伴う場合あり。
比較的女性に多い。
1-2ケ月にわたって集中してほぼ毎日起こり、目の奥がえぐられるような、なにかで突き刺されるような激しい痛みが特徴。
比較的男性に多い。
頭痛の中で、片頭痛は20-40代の女性に多いのが特徴です。
片頭痛を引き起こしやすい要因としては以下のものが挙げられます。
片頭痛が起こる原因のひとつとして
生理周期=女性ホルモンの変動が関係すると考えられています。
特に、プロゲステロンが減少する月経前後に片頭痛が起きるという人が多くいます。
女性ホルモンが関係する片頭痛の起こる機序については以下のように考えられます。
エストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌が減る
↓
脳内のセロトニンが減少
↓
血管が拡張
↓
片頭痛
片頭痛の治療にはトリプタン製剤が使用されます。
では、数種あるトリプタン製剤の中で、女性ホルモンが関連している月経時片頭痛にどの薬剤が適しているのでしょうか。
各トリプタン系の特徴については、こちらにまとめがありますのでご参照ください。
月経時片頭痛の特徴は以下の通りです。
通常トリプタン製剤は急性期治療薬ですが、月経時片頭痛には予防的に使用されることがあります。
「予防投与」は保険適応外となります。
具体的には月経の2~3日前から計5~7日間の短期間の予防療法が合理的かつ有効とされています。
トリプタン製剤の中でも半減期が長いアマージは上記の期間で服用するのに適しています。
アマージは効果発現までに2時間かかるため飲むタイミングが大事です。
痛みがひどくなってから服用するよりも、頭痛の起こるタイミングを予測し、早めに服用するよう指導することがポイントです。
【参考】
・グラクソ・スミスクライン 頭痛ノート
・トリプタン製剤を用いた片頭痛治療における薬局薬剤師の役割
(昭和大学薬学雑誌 第3巻 第1号)
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