耳鼻科などで処方される機会の多いイソバイドですが、
調剤の際に注意すべきことが「互換性」です。
先日、下記の処方を受けました。
“【般】イソソルビド内用液 70%
1日量90ml 1日3回毎食後”
薬局に1包30mlの分包品しかなかったため患者さんに確認したこところ、
「分包品でも問題ないですよ」
との回答でした。
この場合、処方医に問い合わせなしで
分包品30ml、3包/日での調剤は可能でしょうか?
実はイソバイドは、
分包品への変更や、後発品への変更といった場合、
ちょっとややこしいことになっています。
まず最初に、一般名イソソルビド関連の医薬品をまとめてみます。
医薬品名 区分 |
剤型 | 薬価 |
イソバイドシロップ70% 先発 |
シロップ | 4.2円/ml |
イソバイドシロップ70%分包20ml 先発 |
シロップ | 89.4円/包 |
イソバイドシロップ70%分包23ml 先発 |
シロップ | 98.4円/包 |
イソバイドシロップ70%分包30ml 先発 |
シロップ | 131.6円/包 |
イソソルビド内用液70%「CEO」 ジェネリック |
シロップ | 4円/ml |
イソソルビド内用液70%分包30ml「CEO」 ジェネリック |
シロップ | 137.1円/包 |
イソソルビド内用液70%分包40ml「CEO」 ジェネリック |
シロップ | 181円/包 |
メニレット70%ゼリー20g ジェネリック |
ゼリー | 93.1円/個 |
メニレット70%ゼリー30g ジェネリック |
ゼリー | 137.1円/個 |
薬価は2020年4月薬価改定時のもの
イソバイドシロップ70%
→イソバイドシロップ70%分包の変更
イソバイドシロップ70%分包
→イソバイドシロップ70%の変更
こちらは銘柄も薬価も異なることから、変更する場合、通常は疑義照会が必要となります。
一般名処方であっても、この2種類では記載が異なるため、
分包品に変更の場合は(逆の場合も)問い合わせが必要となります。
イソバイドの後発品としてゼリータイプのメニレットゼリーがあります。
剤型変更の場合は類似する剤型内(例 カプセル→錠)での変更は可能ですが、ゼリーには類似する剤型がありません。
そのためシロップが飲みにくいなどの理由でゼリーへの変更の場合は、
医師への疑義照会が必要です。
ちなみに、薬価を見てみますと
後発品にも関わらず、メニレットゼリーは20gも30gも先発品の分包20ml、30mlよりそれぞれ薬価が高く設定されています。
実は、イソバイド分包より先に、後発品のメニレットゼリーが既に薬価収載されていたことにより、先発品と後発品の薬価が逆転してしまった経緯があるようです。
以上を簡単にまとめると、
医師への疑義照会なしで変更可能なのは、
イソバイドシロップ70%(分包品を除く)から後発品のイソソルビド内用液70%「CEO」(分包品を除く)への変更のみ
ということになります(2020年時点)。
調剤報酬の改定ごとに後発品加算の割合のハードルが上がっていますので
「できるだけ後発品の割合を上げたい!」と考える薬局がほとんどだと思います。
今回のイソバイドは特別なケースだと思いますが、
変更の際には、問い合わせが必要が必要かどうかについて
しっかりと確認する必要があると感じました。
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」のFacebookページに「いいね!」をすると、薬剤師が現場で活躍するために役立つ情報を受け取ることができます。ぜひ「いいね!」をよろしくお願いします。
お客様により安全にご利用いただけるように、SSLでの暗号化通信で秘匿性を高めています。
コメント欄ご利用についてのお願い
※コメントはサイト管理者の承認後に公開されます