インフルエンザ治療薬一覧・使い方・予防適応について

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2013年現在、日本で保険適用のあるインフルエンザ治療薬は4成分で、すべてが「ノイラミニダーゼ阻害薬」となります。

追記
2018年に新しい作用機序のインルフルンザ治療薬、バロキサビル(商品名:ゾフルーザ)が販売開始となり5成分となっています。

インフルエンザ治療薬の特徴、予防投与、治療の注意点についてまとめてみました。

インフルエンザ治療薬・用法・用量

一般名
商品名
作用機序
用法・用量 予防投与
【内服】
オセルタミビルリン酸塩

タミフルカプセル75mg
タミフルドライシロップ3%

ノイラミニダーゼ阻害薬

【成人】
1回75mgを1日2回5日間

【幼小児】
2mg/kgを1日2回5日間

【新生児、乳児】
3mg/kgを1日2回5日間

【成人の場合】
1回75mgを1日1回7~10日間

【幼小児の場合】
2mg/kgを1日1回10日間

【吸入薬】
ザナミビル水和物

リレンザ

ノイラミニダーゼ阻害薬

【成人・小児】
1回10mg(5mgブリスターを2ブリスター)を1日2回5日間

5歳以上で吸入ができると判断された場合

【成人・小児】
1回10mg(5mgブリスターを2ブリスター)を1日1回10日間
【吸入薬】
ラニナミビルオクタン酸エステル水和物

イナビル

ノイラミニダーゼ阻害薬

【10歳以上】
40mg(2個)を単回吸入

【10歳未満】
20mg(1個)を単回吸入

5歳以上で吸入ができると判断された場合

【10歳以上】
40mg(2個)を単回吸入
or
20mg(1個)を2日間吸入

【10歳未満】
20mg(1個)を単回吸入

【内服薬】
バロキサビル マルボキシル

ゾフルーザ錠10mg,20mg

キャップ依存性エンドヌクレアーゼを阻害

【12歳以上】
■通常
40mg(20mgを2錠)を単回投与
■体重80kg以上
80mg(20mgを4錠)を単回投与

【12歳未満】
■40kg以上
40mg(20mgを2錠)を単回投与

■20kg以上40kg未満
20mg(20mgを1錠)を単回投与

■10kg以上20kg未満
10mg(10mgを1錠)を単回投与

なし
【点滴】
ペラミビル水和物

ラピアクタ点滴静注液バッグ300mg
ラピアクタ点滴静注液バイアル150mg

ノイラミニダーゼ阻害薬

【成人】
300mgを15分以上かけて単回点滴静

【小児】
1日1回10mg/kgを15分以上かけて単回点滴静注 最大600mg

なし

通常、治療に使用される場合は、
インフルエンザ様症状の発現から2日(48時間)以内の投与。

予防投与の場合は、
インフルエンザウイルス感染症患者に接触後2日以内(リレンザは1.5日以内)。
 

2014年1月にイナビルに予防投与の適応が追加されました。

インフルエンザ治療薬 作用機序の違い

ゾフルーザ 作用機序

バロキサビル(商品名:ゾフルーザ)の作用機序はこちらにまとめています。

先駆け審査指定制度とゾフルーザ錠について【インフルエンザ治療薬】

予防投与可能な薬・対象者(タミフル・リレンザ・イナビル)

インフルエンザの予防投与の適応があるのはタミフル、リレンザ、イナビルとなります。

原則としてインフルエンザウイルス感染症発症患者と共同生活する下記の方が対象となります。
また予防投与の際は、自費扱いとなります。

  • 高齢者(65歳以上)
  • 慢性呼吸器疾患、慢性心疾患患者
  • 代謝性疾患患者(糖尿病など)
  • 腎機能障害患者

インフルエンザ治療のタイミング・注意点

服用タイミング(48時間以内に飲む)


発症から48時間以内に開始すると、発熱期間は通常1~2日間短縮され、ウイルス排出量も減少すると言われています。なお、症状が出てから2日(48時間)以降に服用を開始した場合、十分な効果は期待できません。

異常行動に注意喚起

小児・未成年に投与する場合、少なくとも2日間は一人にしないように注意喚起しましょう。
薬でなくインフルエンザによる異常行動とされていますので、薬が原因でないということも理解していただかなければいけません。

学校(職場)に登校(復帰)できるタイミング

学校保健安全法(昭和33年法律第56号)では

「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児は3日)を経過するまで」

をインフルエンザによる出席停止期間とされています。

ただし、病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めたときは、この限りではないとされています。

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2006年 京都薬科大学 薬学部卒。

調剤併設ドラッグストアのスギ薬局に新卒で入社。
調剤部門エリアマネージャーを経験後、名古屋商科大学院経営管理学修士課程にて2年間経営学を学び、経営管理学修士号(MBA)を取得。
2013年4月、シナジーファルマ株式会社を設立。
2013年8月、薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」をリリース。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」は臨床で役立つ学術情報や求人広告を発信し月間24万PV(2023年6月時点)のアクセスが集まるメディアとして運営中。

2021年より福岡県北九州市にてティーダ薬局を運営(管理薬剤師)。

1983年11月 岡山県倉敷市で生まれ、水の都である愛媛県西条市で育つ。
大学より京都・大阪で14年間、沖縄Iターン特集立ち上げのため沖縄県で4年間暮らし、現在は福岡県民。
二児の父親。

当面の目標は、
「息子達の成長スピードに負けないこと」

座右の銘は、
「まくとぅそうけい なんくるないさ」
=「誠実に心をこめて精進していれば、なんとかなる!!」

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